食品スーパーに野菜を卸す学生サークル「6次産業化クラブ」とは 小売の地域貢献の新たな可能性
店頭価格も学生が自ら設定
6次産業化クラブは、こうして栽培した野菜を地元で約300年の歴史がある朝市「三八市」やJAの収穫祭などのイベントで自ら販売している。そのほか、ローカルSMのウオロク(新潟県/本多伸一社長)が21年5月に移転リニューアルオープンした「ウオロク中条店」(新潟県胎内市:以下、中条店)には、1~2週間に1回ほど、1~5品目ほどの野菜を定期的に卸している。移転を機に中条店が地域貢献として何かできることはないかと6次産業化クラブに声をかけたのがきっかけだという。
注目したいのは、中条店には単に商品を卸すだけでなく、店舗での販売価格も学生が設定していることだ。中条店の地場野菜コーナーにある他の農家がつくった野菜の価格を参考にしつつ、自分たちの野菜の味や品質を比べながら価格を決めているという。飛田さんは「原材料費などを考えるとまだまだ黒字化するのは難しいが、この取り組みを通して学べることは多い」と話す。中条店で販売している6次産業化クラブの野菜は毎回ほぼ完売しているとのことで、評判は上々のようだ。
中条店と異なり、三八市やJAの収穫祭では自ら出店し商品を販売している。サークルのメンバーが自分の出身地ならではの食べ方を紹介するなど、お客とコミュニケーションを取りながら工夫して販売しているという。
6次産業化クラブが現状課題としているのが、SMへの卸売やイベントへの出店による利益をどのように確保するかである。飛田さんは「野菜の品質を安定させることの難しさを実感している」と話す。品質が安定すれば、付加価値のある加工品の販売にもつなげていきたいとのことだ。6次産業化クラブ顧問の早川喜郎氏は「地域と連携することで学生が学び得られることは多い。これからも活動を広げられれば」と語った。