塚田農場を自宅で味わう「家飲み便」 コロナ禍で売上激減の危機を救ったサービスの全貌
法人利用が約9割、意外なその理由とは
サービス開始当初は個人での購入がほとんどだった「家飲み便」だが、ある時期を境として大きな購入層の変化があった。1回目の緊急事態宣言が解除された20年5月末以降、“外飲み”の回復とともに注文数はやや低調となったが、2回目の緊急事態宣言に向かう年末年始には、売上が一気に伸び始めた。再び“巣ごもり”が予想される年末年始の需要や、忘年会・新年会のニーズを汲んだものかと思われたが、どうやら様子が違っていたという。
この頃の注文の内容を見てみると、それまで大半を占めていた個人購入に代わって、法人による一括注文が約9割にまで達していた。オンラインで忘年会を開催したいが、社員がそれぞれで料理を用意しなくてはならないことがハードルにもなってきており、その解決策として「家飲み便」が注目されたのだ。
法人注文では、法人から一括して注文を受け、宅配便業者がクール便でそれぞれの社員宅へ個別に配送を行う。料理を用意する手間が省けることに加えて、皆で同じものを食べ話題を共有する楽しみもあって、利用した部署からクチコミなどで社内に広まり、一気に法人のリピーターが増えたという。1月以降も法人利用の増加は止まらず、3〜4月の歓送迎会のタイミングでは、会食自粛などで消化できなかった接待交際費や福利厚生費の振り向け先として注文がさらに膨らみ、初期と比べて4〜5倍の売上となった。