激戦区を勝ち抜きめざすは瀬戸内商勢圏180店舗・3000億円=ハローズ 佐藤 利行 社長
──東広島店で新たに取り組んでいることはありますか。
佐藤 ハローズは現在、15年9月に開業した「緑町店」(広島県福山市)を標準とした「緑町モデル」での出店を基本方針にしています。これは、売場面積約600坪のハローズの店舗を中心に、ドラッグストアや100円ショップ、衣料品専門店などのテナントを集積した近隣購買型ショッピングセンター(NSC)をつくるというものです。
東広島店についても「緑町モデル」を採用したNSCの核店舗という位置づけで、売場づくりの方針も基本的には緑町店と同様です。
ただ、総菜売場については少し進化させました。店内調理の肉総菜や魚総菜のメニューを拡充し、即食需要に応える商品を増やしています。また、加工食品は健康志向に応える商品や、飲料を中心に機能性商品も多く揃えています。
さらに、これまで出店してきた県東部とは食文化に多少の違いがあります。そのため、東広島店では地域特性に対応した品揃えも追求しています。
県西部初出店となる東広島店では、地域商品も売場の随所に差し込んでいる
──東広島市の隣には、中四国最大の都市広島市があります。長期ビジョン「瀬戸内商勢圏180店舗3000億円構想」を実現するうえで、今後広島県西部は重要なエリアとなっていきそうですね。
佐藤 間違いなく、これから出店を進めていくエリアです。「瀬戸内商勢圏180店舗3000億円構想」を実現するうえでは、東広島を中心とするエリアで今後10店舗程度を出店し、ドミナントを形成しなければならないと考えています。
──広島市を含むエリアにおいて、どれくらいの期間でドミナントを形成する考えですか。
佐藤 新たな商圏に進出したら、集中的に出店するべきだと考えています。そのほうがお客さまからの認知度も上がりますし、物流や運営の効率を考えても理想的です。
広島県西部に関して言えば、何と言っても人口密度が高く中四国最大の市場である広島市があります。このエリアで成功すれば、売上は一気に拡大するでしょう。ただ、広島市周辺の地域は出店用地が限られているため、すぐにドミナントを形成できるかというと、正直に言って非常に難しい側面があるのも事実です。
──限られた用地で出店を進めるにあたって、都市型の小型店を出店する可能性はありますか。
佐藤 それは考えていません。あくまでも600坪の「緑町モデル」の出店が基本です。
私たちの使命は、お客さまにとって必要な商品がいつでもあるという店をつくることにあります。「食生活に関わる商品はすべて揃っていますよ」と自信を持って言えるようにならなければいけません。日常の食生活以外にも、入学シーズンや運動会、誕生日や冠婚葬祭など、あらゆるイベントに対応できる品揃えを提供するためには、600坪というスペースが必要なのです。
──NSCで出店するというのも基本方針になっているのですか。
佐藤 基本的にはNSCをつくりたいと考えています。ただそれは敷地面積によって左右されます。狭ければフリースタンディングの店舗になりますし、広ければNSCを開発するということです。ただ、お客さまの買物利便性を考えると、ハローズの店舗にドラッグストアや100円ショップ、クリーニング店などが集積したNSCのほうがベターであることは確かでしょう。
──日頃とくに意識している競合店はありますか。
佐藤 マックスバリュ西日本さんが展開しているディスカウント業態「ザ・ビッグ」の集客力は強いと思います。とくに旧「メガマート」から転換した1000坪規模の大型店は、豊富な品揃えと価格が大きなアピールポイントとなっています。
エブリイさんも成長著しい注目企業です。直近ではハローズの「緑町店」「津高店」「府中店」「六条店」などの近隣に出店されています。ただ、お客さまにとっては買い回りしやすい環境になっています。お互いが集客を図りながら、切磋琢磨していければよいと考えています。