生産性向上にスター社員の成果最大化…AOKIが進めるリモート接客に透けるアパレル販売新常態
4施策の連動でオムニチャネル化を強化
現在までに提供されている同社のデジタル接客は次の4つ。①公式ウェブサイト上で展開するスタッフスナップの運営、②インスタライブ(ライブコマース)、③有人のチャット接客、そして④リモート接客だ。
それぞれが、オンラインショッピングにおける疑問や不安を解消する顧客サポートサービスとなっており、リアル店舗との垣根のない連動でいつどんな場所でも不自由のない購買体験ができる体制が整えられている。
スタッフスナップは、店舗スタッフ自身がモデルとなり、身長・サイズなどを公開し、実際に商品を着用した画像等を通して着こなしやサイズ感などを把握してもらうことで、顧客との結びつきを強め、よりニーズに合致した提案をするための施策だ。お気に入りのスタッフをフォローする機能やインスタグラムへのリンクもある。
インスタライブは、インスタグラムの機能を活用した生配信による販売動画だ。販売といっても、主軸は動画による商品紹介で、動きを伴うことでより分かりやすく商品情報を伝えることを目的としている。商品が気に入った顧客は、その場で商品に関する質問も可能。また、アーカイブのショップ機能からECサイトへリンクし、そのまま商品を購入することも可能だ。
チャットは、オンラインショッピング中に在庫確認、合わせる商品やサイズ感・素材感などなんでも気軽に質問できる機能で、商品情報の補完説明および購買支援が主な目的となる。スタッフが有人で対応し、テキストベースながら商品知識のあるスタッフが丁寧に回答することで、オンラインショッピングのちょっとした疑問や不安を解消する。
リモート接客は2021年2月からスタートした施策で顧客とビデオ通話を活用し、1対1で対応する。オンラインであること以外は基本リアル店舗と同等レベルの接客内容となり、新型コロナで来店を控える顧客への代替サービスとしての役割も担う。商品選びからコーディネートまでオンラインショッピングではできない総合的な相談にも対応するため、予約制となっている。気に入った商品はオンラインショップでも店舗でも購入できる。
鈴木氏は、これら施策の役割について「スタッフページとインスタライブは『1対多』の情報発信で、チャットとオンライン接客は『1対1』。それぞれが、各購買プロセスにおける不足部分を補完することで、購買体験を最適化する。また、お客さまとのコミュニケーション面でも有効に機能すると考えている。買ってもらう前の段階の、商品に興味を持ち理解していただくファネル*に対し、デジタルを用いて利便性や満足度を高め、ショッピング体験を向上させていくことが重要」とデジタル接客施策全体の位置づけを説明した。
*購買に至るまでの意識の段階を表すマーケティング用語