危機感をバネに巻き返し着々=ベイシア 橋本 浩英 社長

聞き手:下田 健司
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──実際にそうした商品は生まれているのですか?

橋本 まだまだです。ただ、その兆候はあります。1番の候補になりそうなのは、つい最近、販売を開始した6Pのプロセスチーズです。1週間で4万3000個を販売。発売当日には1日に265個を販売した店舗もありました。

 このような数量は事前には想定していませんでした。しかしできました。私たちにもやればこれだけ実績がつくれるという自信が芽生えました。

 価値ある商品をどんどん開発しようという商品部の思いとそんな商品なら一生懸命売ろうという販売部の思いが一緒になったと実感しています。これが私たちの大きな成功体験になると期待しているところです。この体験の数をさらに増やしていきたいと考えています。これからは、製造小売化にシフトもしていかねばいけません。商品に情報をしっかりつけて、コンセプトや商品価値をしっかりお客さまに伝えたいと思います。

──プライベートブランドのパッケージングなども変わってきますか?

橋本 パッケージングも専門の担当者を置きました。単品ごとのコンセプトをパッケージに反映させるだけでなく、全体の統一感も重要になります。まだまだできていない部分もたくさんありますが、1つの成功体験がこれからの私たちの背中を押してくれていくような気がします。

FOR THE CUSTOMERを再確認

──さて、グループ会社のカインズとの共同の取り組みはありますか?

橋本 フードセンターはカインズとの共同出店ですから、まったくお客さまの数が違います。このお客さまの数をどれだけ、ベイシアのお客さまとして迎えられるかという部分にチャレンジしていかないといけません。まだまだやらなければいけないことはたくさんあります。

 共同の取り組みとしてはカインズカードがあります。一部の店舗では一緒にやっていますので、どなたが何を購入されているのかがわかりますから、さまざまなご提案をすることもできるでしょう。また、商品の関連販売にもつなげていきたいと思います。従来は、慣習に基づいて独善的に関連販売を実施していましたが、データの裏づけをベースに関連陳列や実験を進めていきたいと考えています。

──社長就任以来、相当のスピードで改革を進め、それがうまく回り始めています。

橋本 そうですね。悪天候の9月は対前年同月比0.1%減でしたが、10月は同4%増、11月も同2%増で推移しています。

 ベイシアは、もともと来店客数が多いので、さまざまな商機があるのです。

 しかし、最近は、新しい発想やチャレンジに消極的だったゆえに停滞を余儀なくされていました。お客さまも不満を感じながら、でもご来店いただいていたのだと思います。

 そのことを危機感として全従業員が共有して、改善・改革に注力していきます。お客さまにお越しいただければ、商品を買いたくなる、来店目的のある店舗にしていきたい。お客さまにもっともっと貢献させていただくことで私たちも最終的に成長させていただければと考えています。

 「FOR THE CUSTOMER」という私たちの経営理念がちょっとぼやけてきたようなところがありましたが、当社の「FOR THE CUSTOMER」は何なのかを全社員が共有化して、さまざまなことに積極的に取り組んでいけば必ず上昇気流に乗れると考えています。

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