危機感をバネに巻き返し着々=ベイシア 橋本 浩英 社長
EDLPを進化させる
──生鮮食品を強化しながら、今度は、グロサリーやデイリーの価格を下げる。御社の経営理念のひとつである「チェーンストア イズ モア ディスカウントビジネス」の実践ですね。
橋本 EDLP(エブリデイ・ロー・プライス)政策を徹底していますので、再度価格を下げたグロサリーについては、競争力があると自負しています。
ただ、グロサリーの場合は、競合企業にマークされて同じ価格に合わされることも少なくありません。その結果、販売数量が減少して利益が出なくなってしまうことも多々あります。その原因は、一度決めた商品を変えることなくずっと同じ価格で販売しているためです。
現在、約1000アイテムの商品で実施していますが、たとえば、単価が500円のドレッシングを390円にするという具合に、ちょっと高質で高額の商品や季節性のあるもの、話題性の高いものを積極的にEDLPで販売しています。こういう手法は、正確にはEDLPとは言えないかもしれませんが、お客さまに「よりよいものをより安く」提供することを重要視した結果です。
──それにともなって、商談の仕方も変わってきますね。
橋本 そうですね。たとえば、健康軸でEDLPを施行する場合は、減塩やグルテンフリーや無添加といった、さまざまな知識とアイデアが必要になります。
数が売れている商品を安く売ることは、多くの企業ができるはずです。しかし私は逆に、これがEDLPのデメリットではないかと考えています。だから競合企業ができないことをやりたい。難易度は高いのですが、それをやりぬくことがお客さまづくりにつながると確信しています。EDLPも常に進化させていかなければいけません。
──一方で、EDLC(エブリデイ・ロー・コスト)の進化の度合いはいかがですか?
橋本 今は、インフラ整備に乗り出しているところです。そのなかでフル装備のプロセスセンター(PC)づくりを計画しています。PCを活用しても問題のない商品はPCに移管するとともに、店内では差別化の図れる付加価値の高い商品づくりに集中します。
それと現在は、アウトパッカーの業者育成に努めているところです。ベイシアの品質基準や商品基準を遵守しながら商品化できるようなアウトパッカーです。
アウトパッカーの商品の粗利益設定は、店内加工よりも低くなりますが、その分人件費は下がりますので、相対的にコストは下がることになります。
プロセスチーズが大ヒット
──商品面でほかに政策はありますか?
橋本 「これを買うのならベイシア」という商品をたくさん開発していきたいと考えています。その基準は、PI(Purchase Index:レジ通過客千人当たりの購買率)値になります。1000人いれば、10~15%のお客さまに買っていただける販売量を持つ商品の開発と育成です。
現在、青果、精肉、鮮魚、総菜、デイリー、グロサリーの6つの部門がありますから、各々5つずつ。当面30品目の開発が目標です。
──コロッケなどはその域に達しているのではないですか?
橋本 いや、まだまだです。もちろん販売数量は多いですが、コロッケを買いにベイシアに来てくださるというレベルではありません。ベイシアのコロッケ食べたさに来店してしまう。売っている私たちでもそう思えるようなコロッケじゃないといけません。