危機感をバネに巻き返し着々=ベイシア 橋本 浩英 社長

聞き手:下田 健司
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──青果部門以外の生鮮食品は、どんな方向で強化しているのですか?

橋本 従来は素材の販売が中心でしたが、有職主婦や独り暮らしのご老人が増えていますから、意図的に即食商材やハーフデリ型の簡便商品の品揃えを増やしています。

 現在、総菜部門でとくに強化しているのは、サラダ、寿司を含めた米飯、スープ類、焼き物です。これまで、サラダは、ベースとなるものがほとんどでした。今は、厚生労働省が推奨している「一日の野菜摂取量350g」にちなみ「ベイシアサラダスタイル350」と銘打ったコーナーを展開。鮮魚部門が扱うサーモンやタコを乗せたシーフードサラダや精肉部門のローストビーフやローストポーク、生ハムを使用したディッシュサラダを一箇所に集めてバラエティ豊かな品揃えで訴求しています。

 米飯も手法はサラダと同じで、精肉部門の黒毛和牛を使った弁当や燦さん々さん鶏どりを使った鶏めしなどの開発も始まっています。

 さらには、米飯の商品分布図を作成して空白エリアへの商品投入を模索しているところです。実際、米飯は、298円弁当等のガッツリ系弁当が多かったのですが、女性を意識した「カフェ飯」等のヒット商品も出てきています。

──部門の垣根を超越した商品開発は難しくありませんか?

橋本 確かに従来の組織は縦割りでしたからなかなか部門を超えての取り組みは進みませんでした。しかし、私が社長に就任して以降、組織変更を実施し、全社的に風通しがよくなるように努めています。

 私が営業部門のトップに就き、その下に商品部と販売部をぶら下げる格好の組織図にしました。本部内のレイアウトも変更して、部門間の物理的な壁になっていたキャビネットを移動して、空いたスペースにはパッと集まれるようなテーブルを置き、頻繁に会議や会話ができるようにしました。

 現在は、商品部と販売部がいつでも1つの問題についてフランクに話し合いができ、協力し合って問題解決に当たれる組織になろうとしています。

 また、女性の視点も積極的に導入しています。当社は典型的な“男社会”“男会社”でしたが、女性の従業員の方から意見をいただき、試食していただき、商品化につなげるという取り組みも積極的に行っています。

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