売上高日本一のSMチェーン発足!統合シナジーを具現化=U.S.M.H上田 真 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
構成:太田 美和子
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ほかの業種・業態と提携することはあり得る

U.S.M.H

──M&A(合併・買収)に対するスタンスを教えてください。

上田 現在はM&Aの具体的な話はありません。

 また、U.S.M.Hは、力ずくのM&Aはしません。会社の設立趣旨に賛同していただける企業はウェルカムです。賛同を得るためには、まずU.S.M.Hとしての実績を出さねばなりません。

──経営統合がデメリットになり得る可能性はないでしょうか。たとえば、ホールディングスは一般的に新規事業が生まれにくいと言われています。

上田 繰り返しになりますが、U.S.M.Hの各事業会社は自主自律型組織です。スケールのデメリットというのは、中央集権によるデメリットとほぼ同義語といえるでしょう。

 マルエツの例を挙げると、売場面積40坪?50坪の「マルエツ プチ」でも地下鉄で1駅違うと売れる商品が変わってきます。一律に同じ棚割りで同じような売り方をしていたら、マーケットとのミスマッチが起こります。地域に根差そうとすればするほど、品揃えが店ごとに異なってきます。ですから、SMは結果的に個店主義にならざるを得ないのです。

 店ごとに品揃えを変えると、手間暇がかかります。しかし、これは、コンビニエンスストア(CVS)にはできないことであり、むしろCVSはやってはいけないことです。だからこそ、「マルエツ プチ」は周辺にCVSが10店舗あるような場所でも成り立つのです。CVSと同質化せず、SMを極めることがCVSとの差別化にもなります。

 個店主義とはいえ、もちろんチェーンストアの考え方で運営します。ざっくりとした言い方でいえば、チェーンストアとして標準化する要素が8割、残りの2割が個店主義といえるでしょうか。

 今のところ、U.S.M.Hで新規事業を行うことは考えていません。

 ただし今後、ホールディングスとして、SMとの相乗効果が出そうなほかの業種・業態と提携することはあり得ます。

 U.S.M.Hの強みは、3社が共に関東圏のSMであるという親和性です。この強みは、裏を返せば、業態がSMのみであることです。マスのメリットは出やすいのですが、新たな業態開発となると限界があります。同じ業態同士が統合した足し算の関係から、掛け算のシナジーを出すにはほかの業種・業態と連携していくことが1つの選択肢です。われわれはイオン(千葉県/岡田元也社長)というさまざまな業種・業態を持つグループに所属しているわけですから、うまく連携していけば、ウィン・ウィンの関係をつくることができると考えています。

 グループのドラッグストア(DgS)、CVSなどと共同で店舗開発することを視野に、情報交換を進めているところです。首都圏においては、「マルエツ プチ」の品揃えを基本に、DgSやCVSの機能を付加した複合型のフォーマットの出店も可能だと考えています。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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