日本市場でのEDLP浸透に手ごたえ=西友兼ウォルマートジャパンCEOスティーブ・デイカス
PB「みなさまのお墨付き」開発に英アズダのノウハウ生かす
──PBはどのようなプロセスで開発していますか?
デイカス PB開発は、社内で組織した専門チームが「みなさまのお墨付き」の開発を担当しています。チームには経験豊かなブランド・マーケターもおり、通常の消費財メーカーのブランドと同じように、このブランドを開発し進化させていくことができます。
商品化のプロセスは、ステージごとに評価を行い、基準に合ったものだけが次のステージに進むように組み立てられています。戦略立案から出発し、商品開発、製品テスト、そして供給サイクルという風にいくつかのステージに分かれています。この方法によって当社は、ゼロから数100アイテムものPBを比較的短期間に導入することができました。もちろん最も重要な評価の関門は、お客さまが認めてくださることです。70%のお客さまに評価されない限り、もう一度開発をやり直さねばなりません。そこに妥協はないのです。
──今後、PBはどのようなペースで開発していきますか?
デイカス 今年は13年度とほぼ同じペースです。「みなさまのお墨付き」に300品目の新商品、「きほんのき」に100品目の新商品を投入する予定です。
スピードを加速していきたいと考えていますが、重要なことは、品質を担保できるスピードでしか、新商品を導入しないこと。開発には時間がかかり、どの開発段階にも妥協はできないからです。
また、人々の嗜好は時間とともに変化します。人々が期待することも時間が経つにつれて変わります。当社は1年半~2年ごとに、すべての品目を再テストします。2年前には十分よい商品であっても、一定期間ごとに見直すことで、お客さまのニーズを確実に満たし続けることができるのです。今年は約200品目のPB商品を再テストする予定です。
──PB開発のノウハウは、ウォルマート流ですか?
デイカス とくに「ウォルマート流」や「西友流」があるわけではありません。
ただ、「みなさまのお墨付き」はコンセプトにおいてもプロセスにおいても、ウォルマート傘下の英アズダ(ASDA)のPB「チョーズン・バイ・ユー(Chosen By You)」と同じです。
当社が「みなさまのお墨付き」を開発するに当たり、アズダはたどるべきプロセスを教えてくれました。アズダからの強力なサポートがなければ、「みなさまのお墨付き」を成功させることはできませんでした。これはウォルマートの一員であることの利点のひとつだと思います。
ウォルマートはグローバル企業の強みを生かし、常に各国間で情報を共有しています。たとえば当社の子会社である総菜メーカーの若菜(埼玉県/中村真紀社長)は、ウォルマート内ではユニークな存在です。世界的に見ても、消費者は総菜のような即食性の高い商品を購入する傾向が高まっています。より効率的に、より高品質でより低コストな総菜をつくるにはどうしたらよいのか。若菜は、他国でも生かせるヒントを持っているのです。
こうした各国の成功事例やノウハウを、ウォルマートが重視する「生産性ループ」に組み込むことによって、品質を犠牲にすることなく継続的なコスト削減を実現できるようになるのです。知識の共有化といったソフト面の取り組みは、最も重要です。ハードウェアならば単に購入すればいいですが、ソフトウェアは購入することはできません。
──昨年から米国産牛肉などの直輸入を始めました。英アズダからワインを仕入れたり、輸入菓子や調味料を導入したりと、グローバル調達網を生かした商品が売場で目立ち始めています。
デイカス 昨年は直輸入商品も、売上や粗利に寄与しました。とくに食品の直輸入商品の2013年の売上高は、対前年比10%増加しました。牛肉はその最たる成功事例です。100g/92円(税抜き)という価格は、他社の追随を許しません。牛肉のほかにもポテトチップスや缶詰、オリーブオイル、チョコレート、ワインなどが好調に推移しています。直輸入商品は、売上や利益に貢献するだけでなく、売場にワクワク感を加えてくれる、当社の強みといえますね。
どの商品もウォルマートのグローバル調達網をとおして仕入れていますが、牛肉はウォルマートUSAから直接購入しています。西友の牛肉の仕入れ価格は、ウォルマートUSAと同じです。配送コストや関税がかかるぶん、日本では少し高額になりますが、それでも競合他社と比べれば非常に安価です。今後、そのほかのカテゴリーにもできるだけ早く拡大していきたいと考えています。