コロナで失速したGDOが“コロナに強いゴルフ”の恩恵を享受するために必要な逆説的戦略とは

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“コロナに強いゴルフ”を裏付ける2つのデータ

vm/istock
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 コロナ禍で再認識されたゴルフ人気を裏付けるデータがあることが2つ目の根拠だ。経済産業省が公表した「特定サービス産業動態統計調査の統計」によると、7月のゴルフ場の利用者数は前年同月比で約1割増加。以降は前年以上の水準をキープしている。

 同社が昨年4月から10月にかけて会員1095人を対象に行なったアンケートでも、こうした動きと相関する結果がでている。

 「2020年4月以降にゴルフを始めた、または再開したきっかけに新型コロナウイルスの流行は影響したか」の質問に対し、「ゴルフは野外スポーツなので感染リスクが低いと思った」の回答が29.8%、「ゴルフはソーシャルディスタンスを保てるスポーツだと思った」の回答は18.2%、「新型コロナでいままでのレジャー・アクティビティができなくなり、ゴルフにシフトした」が11%だった。これらはゴルフがコロナ下でも安全なスポーツであると認識されていることを裏付ける結果といえ、今後新型コロナが続くとしても需要を下支えすることになるだろう。

 3つ目の根拠は、コロナ禍における新たなゴルフ環境の整備が進んだことだ。オンラインでのバーチャルレッスンを強化し、非接触型レッスンを導入したほか、Eラーニングも強化し、コロナ下における新たなレッスンの形を提示し、自粛による需要の取りこぼしがない体制を整えた。

 第4の根拠は中止が相次いだプロツアートーナメントの開催再開だ。オンラインでのコンテンツ配信をゴルフ場予約やグッズ販売につなげるビジネスモデルの同社にとって、トーナメント関連の情報は需要喚起につなげるキラーコンテンツ。それだけに、トーナメントの本格的な再開となれば、コロナ禍で顕在化した新たなゴルフ層を定着させる上で、同社の強みを最大限に生かせる。

“コロナに強いゴルフ”に頼らない戦略が復調の肝に

 連結決算と併せて発表した2021年から2023年にかけての中期経営計画では、最終年の2023年の売上高を460億円、営業利益25億円に設定した。売上高では海外セグメントをほぼ倍増となる135億円に設定し、同社はいよいよ世界戦略も本格加速させる。

 創業以来順調に業績を伸ばしてきた同社にとって、2020年はニーズがあるのに売上を伸ばせないという「特殊な1年」となった。同社が、2021年を“コロナに強いゴルフ”の恩恵を最大限に享受し、想定通り復活の1年とできるかは、万一、コロナ終息が長引いても揺らがない体制が構築できているか、つまり逆説的だが、「コロナに強い」に頼らない戦略を確立できるかが、肝となるだろう。

 

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