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AIカメラ50台!DCMホーマック初の“スマートホームセンター”、鳥取大通店を徹底解説!

DCMホールディングス(東京都/石黒靖規社長)傘下のDCMホーマック(北海道/石黒靖規社長)は11月26日、北海道釧路市に同社初の“スマートホームセンター”、「DCMホーマック鳥取大通店」をオープンした。

DCMホーマック鳥取大通店

スマートホームセンターだけじゃない!
鳥取大通店、4つの特徴!

 釧路市はDCMホーマック創業の地である。その釧路市内への今回の新店は、奇しくもDCMホーマックとして“最後の新店”となった。2021年の3月をメドに、DCMホールディングス傘下の事業会社5社が統合するからである。

 釧路エリアには、1号店である中園店をはじめ、千代の浦店、星が浦店、木場店の4店舗を展開しており、今回の鳥取大通店で5店舗体制となった(注・木場店のみ、所在市町村は釧路町)。隣接する釧路町を合わせた釧路エリアの人口は約18万5000人で、競合するホームセンター(HC)はなし。DCMホーマックがマーケットを一社独占しているエリアということになる。

 その鳥取大通店は、釧路市中心部を東西に走る鳥取大通沿いにあり、スーパーアークス鳥取大通店などとともに、近隣型ショッピングセンター(NSC)の核を担う。

  売場面積は約1800坪と同社HCとしては標準規模、6万7000SKUという品揃えも標準店と同等だ。商圏は車で10分圏、約7万4000人をターゲットとする。

 鳥取大通店の特徴は、①AIカメラを投入したスマートホームセンターであること、②「DIYリフォーム」の提案、③最新の新型コロナウイルス(コロナ)対策、④キャンドゥ店舗の導入、などである。

AIカメラ50台で、入店から退店までのお客の動きを把握

店内に50台のAIカメラが設置された

 スマートホームセンターについては、アイリスオーヤマ製の50台のAIカメラ(その他通常の防犯カメラ50台)を、売場入り口、レジなど店内各所に設置。お客の購買行動の分析や客動線の正確な把握を通して、売場づくりや商品配置に生かすねらいがある。まず、売場入り口にある大型サイネージの上に取り付けられたカメラで、お客一人ひとりを識別したフェイスIDを自動作成する。お客が店内を動き回るたびに、売場各所のAIカメラが検知、お客が店に入ってから出るまでの行動を把握することができる。これらを元に、メーカーにフィードバックしたり、売場づくりや商品の見せ方を変えるなど、よりお客の購買を刺激する売場を作ることをめざす。ちなみにAIカメラの導入コストについては、アイリスオーヤマの担当者曰く、「他の小売業が先行して行っているものと比べるとグッと現実的」だという。

DIYリフォームコーナー

 ②の「DIYリフォーム」とは、お客自らが道工具を用いて、セルフリフォームをするという提案型売場だ。実際、外壁や水回り、ユニットバスの交換・取り付けなど大掛かりなリフォームは業者に任せる一方で、壁、床、天井、収納などのリフォームを自分で行う人は増えている。そうした動きをいち早く察知したDCMホーマックでは中古住宅を2棟購入し、「素人同然」と言う同社社員が、プロの手ほどきを受けながら、イチから住宅をフルリフォーム。そこで得た知見や手順を売場各社で商品とともに動画や写真、実際のリフォーム後見本などを活用して紹介。「DIYリフォームに興味があるけれども、不安がある人」の背中を押す売場をつくっている。例えばフローリングの張り替えの場合、プロに頼むと約6万円、自分で施工すると半分以下の約2万7000円で済むことをポップでアピールしていた。

 同店ではDIYリフォームコーナーを大きく取り、壁紙の張り替え、天井の施工、収納棚の新設、万が一失敗したときの補修の方法などを提案する。一部の既存店にもすでにDIYリフォームコーナーは導入済みで、圧倒的に若い女性客が多いのだという。

最新のコロナ対策はカートとカゴのコーティング

 ③最新のコロナ対策では、全てのショッピングカート、カゴに約3年間効果が持続するウイルス・細菌を99%不活性化させるというコーティングを塗布。お客の不安感を取り除くとともに、毎日手作業でカートとカゴを拭いていた手間を省くねらいがある。

 ④は100円ショップのキャンドゥの導入で、同店でDCMホーマックとして22店舗目となった。一見カテゴリーはHCとかぶるため競合しているように見えるが、実際は、価格帯と商品の仕様も異なるため、実際は使い分けしているのだとDCMホーマックの担当者は語る。そのため、従来からHCと100円ショップを行き来するお客は多かった。同店のように100円ショップを取り込むことで、来店頻度も高まるので、HCにとってもキャンドゥにとっても相乗効果があるのだという。特にキャンドゥの場合は、他の100円ショップチェーンと異なり、売場面積100〜120坪とコンパクトな売場がもっとも高い効率を発揮する点も、DCMホーマックとしても導入しやすいのだという。

 

 このようにDCMホーマック鳥取大通店は、DCMホーマック最後の新店にふさわしい、新しいチャレンジとめざすべきHC像が明確になった店舗と言えるだろう。