ムダを徹底的に省くことで低価格を実現する愛知の隠れた有力スーパーカネスエ、強さの秘密を分析
鮮度管理にこだわったPC加工の刺身を展開
阿久比店の各売場を見ていこう。青果売場では、壁面にはチラシ掲載の「北海道産かぼちゃ」(100g当たり25円)をはじめ、「えのき茸」(77円)、「ほうれん草」(97円)、「白菜」(4分の1カット77円)、「レタス」(1個77円)、「もやし」(200g17円)、「キャベツ」(1玉97円)など2ケタ売価を中心に売れ筋の価格訴求商品を販売している。その対面には生花に加え、みかんやバナナ、柿、ブドウなどの国産・輸入果実を配置するほか、野菜ではピーマンやしめじ、にんじん、じゃがいも、タマネギなどを展開。目玉商品には「満足良品」と記載したPOPを添えている。
続く鮮魚売場では、刺身用のサクでまぐろや真鯛、ぶり、サーモンなどを展開するほか、「刺身盛合せ4点盛(つま無し)」(597円)などの盛り合わせも販売。筆者も購入し食べてみたが、PC加工といえど鮮度感のある味わいだった。鮮度管理に適した容器を選択しているほか、ツマがないなどコスト削減の徹底ぶりを感じる。切身は、「ぶり」(100g当たり77円)や「宮城県産 生するめいか」(100g当たり97円)など、売れ筋商品を中心に構成。PC加工だが鮮度管理もよく商品づくりも丁寧である。カネスエにはこういった鮮度管理のノウハウが蓄積されているため、PC加工での提供が可能となっているようだ。
精肉売場も低価格の売れ筋商品を中心に構成されている。鶏肉では「国産若鶏手羽先」(100g当たり57円)、牛肉では国産の「牛こま切れ」(100g当たり237円)や、アメリカ産「牛バラ切り落とし牛丼用」(100g当たり125円)などを展開。豚肉では自社オリジナルの「末次郎ポーク」が支持されており、「ロースしゃぶしゃぶ」(100g当たり167円)、「小間切れ(大)」(100g当たり97円)など低価格で品質の高い商品を取り扱っている。
PC加工の寿司は10貫で297円
総菜売場は、大半の商品がPC加工もしくは外注で構成されている。弁当は価格訴求を強く打ち出しており、297円の商品を10SKU、197円の商品を2SKU展開していた。
寿司はPC加工の商品を展開。なかでもいなりの販売を強化しており、POPには「当店自慢のいなり寿司です 店の人気ナンバーワン」と記載していた。5個137円、8個189円の低価格でいなりを販売するほか、寿司も価格訴求品が多く、「パクパクにぎり寿司」(10貫297円)や「まぐろたたき細巻」(297円)など多様な商品を展開していた。
おにぎりは「約3秒に1個売れます」とその人気ぶりをパネルでアピールしており、49円、67円の2種類のプライスラインで販売するほか、手巻きおにぎりを97円で展開。おにぎりはパネルのフレーズどおり、次々とお客が購入していった。唯一店内加工している揚げ物は「名物キャベツメンチかつ」(2個197円)や「豚ロースとんかつ」(1枚197円)など35SKUで展開し、出来立てを訴求していた。
日配品や加工食品は、ナショナルブランドのほか、オリジナル商品と地場商品も積極的に導入している。和日配では、「白玉うどん200g1玉」(18円)など、低価格の商品を多く品揃えするほか、カネスエのプライベートブランド(PB)も多く、「もめんとうふ320g」(27円)や、納豆の「極小粒3P」(49円)などを販売。納豆ではたれやからしを省くなど、細かい部分でも商品原価を削減し、低価格を実現しようとする姿勢を感じる。そのほか、カネスエオリジナルの「マルゲリータ」「クアトロチーズ」「クラシックぺパロニ」の3種類の30cmサイズのピザを500円で提供する。
加工食品では、岐阜県を本拠とする内堀醸造の酢や、名古屋市の調味料メーカーであるイチビキの醤油など、地域商品を売場各所に差し込んでいる。菓子では、ユニークな絵柄のPBの柿の種が目を引く。酒類は売れ筋商品に絞り、CGCのスペイン産ワイン「プリンス デ バオ(赤・白)750ml」(299円)などを展開していた。
カネスエ阿久比店概要
所在地 | 愛知県知多郡阿久比町白沢下カナクソ2-1 |
開店日 | 2020年9月24日 |
売場面積 | 約500坪(歩測) |
営業時間 | 8:00~21:00 |
駐車台数 | 約220台 |
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