介護施設併設、新業態開発、加盟店への低温什器貸与…いま全日食が面白い理由
全日本食品代表取締役社長 平野実
主に中小規模の食品小売店が加盟するボランタリーチェーンの「全日食チェーン」を運営する全日本食品(東京都)。商品の供給だけでなく、加盟店の店舗運営のサポート、物流事業なども展開する同社は、顧客のニーズの変化に対応した店舗・組織づくりや、物流センターの再編、マイクロスーパーの開発などを行っている。近年の取り組みと今後の方針について、平野社長に聞いた。
低温什器導入で冷食強化
──まずは足元の業績を教えてください。
平野 新型コロナウイルス(以下、コロナ)による“特需”の影響で、他社の食品スーパー(SM)と同様に売上を伸ばしています。2020年2月以降の既存店売上高は好調に推移しており、直近の8月では対前年同月比で104.4%でした。
コロナ禍では、まとめ買い需要や巣ごもり需要の高まりで買物回数が減ったため、客単価が上昇し客数が減少しました。コロナの感染者数が急拡大した3月については、カップ麺や缶詰など備蓄に適した商品の売上が好調に推移しました。4月以降は家庭での食事回数が増えたため、生鮮食品のほか、牛乳やヨーグルト、卵、豆腐などの商品が売れました。8月以降は、客数・客単価ともにほぼ前年並みの落ち着きを取り戻しつつあります。
今後は冬に近づくにつれて10~12月にコロナの感染が再拡大すると予想されています。われわれはこれまでも、災害があった翌日でもしっかりと商品を店舗に供給し、お客さまに商品を提供できるように尽力してきました。コロナ禍においても、災害時と同様の混乱が起こることを想定し、安定した商品供給を継続しなければなりません。全日食チェーンの加盟店は標準の売場面積が約30坪、商品数は2500~3000SKU程度ですが、売れ筋の商品はほとんど欠品させず供給できています。
──安定した商品供給を実現するために取り組んでいることはありますか。
平野 配送効率向上や物流費の低減をめざし、物流センターの再編を開始しました。各地域で物流センターの移設や新設、規模拡大を予定しており、とくに低温度帯の物流体制構築に注力しています。中部地方では、新潟県内に生鮮、ドライ、チルド、フローズンを含めた統合センターを新設します。今後3~4年ほどで全国の物流網の整備を完了させる計画です。
──冷凍食品は近年需要が高まっているカテゴリーの1つです。売上拡大のためにどのような施策を展開していますか。
平野 物流体制構築と並行して、店舗では