需要創造と製造効率の追求で総菜の売上・粗利率をアップさせた平和堂の完璧な打ち手
食シーンの提案と製造効率の追求で売上高、粗利益率の向上に成功!
平和堂(滋賀県/平松正嗣社長)もコロナ禍で、総菜部門の売場や品揃えを大幅に改革した企業の1つだ。得意としてきたバラ売りコーナーは「バイキングに頼らない売場」をテーマに抜本的に改革。また、新たな食シーンに対応する提案や、オペレーション効率も追求した売場展開も推進し、売上高向上とともに、粗利益率の改善にも成功している。
「おうちde居酒屋」を提案食シーンを売場で演出
新型コロナウイルスの感染拡大以降、平和堂の総菜部門ではさまざまな施策を講じてきた。3月上旬には、飛沫・接触による感染防止のため、バラ売りを見直し、商品を個包装にしたほか、売場からトングを撤去した。すると3月と4月は、看板売場の1つであったバイキングコーナーの焼き鳥や天ぷらの売上高が、対前年同月期比で2割近くも落ち込んでしまった。
平和堂生鮮食品事業部デリカ課課長の石井雅樹氏は「当初、感染症の売上高への影響は1~2カ月で終息するだろうと高を括っていた。しかし日を追うごとに悪化する状況を見て、これまで平和堂が得意としてきたバイキングという手法では今後、総菜部門の売上高は伸びないだろうとの結論に達した」と振り返る。
そこで4月下旬、デリカ課では対策に向け、本腰を入れて動き出す。同課には30代を中心に比較的若いメンバーが揃っていた。店舗で担当者として勤務していたときの感覚を覚えているバイヤーも多く、そうした現場目線を生かし、「ピンチをチャンスに変えよう」という前向きな発想のもと皆で活発に意見を出し合った。
実際に売場を大きく変えたのは大型連休を過ぎた5月下旬からである。
まずバラ売りコーナーでは、ここ1~2年は、需要が大きく、粗利益率も高い天ぷらを強化していた。これを見直し、3月から提供していた個包装の天ぷらを大幅に縮小。代わりにパック詰め商品を中心とし、そのラインアップも従来の3品目から5品目へと広げた。
そのうち、外出自粛生活で家族揃って食事をする機会が増えていることから、天ぷらの盛り合わせ商品の開発にはとくに力を入れ、全店で売り込んだ。同時に、
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