ヨーク大竹正人社長が語るセブン&アイの首都圏SM戦略と鍵握る3つのフォーマット
年間2~3店舗の新規出店目標を加速へ
──今後ヨークでは、プロセスセンター(PC)やセントラルキッチン(CK)を導入して、製・配・販一体型のMDを構築し生産性向上を図る方針も打ち出しています。
大竹 セブン&アイのグループ商品戦略本部長の石橋誠一郎氏がヨークの取締役に就き、グループで共通化させることと、ヨーク単体で進めることを精査しています。私自身はPCやCKは共有する一方、物流は単独で行うほうがよいと考えています。高い商品・サービス力の実現も追求しながらグループ力により生産性を向上させ、ヨークが24年度までの目標に掲げている、営業利益率3%の達成を実現します。
──今回の事業統合で、セブン&アイが実験的に営業していた都市型SMの新業態「コンフォートマーケット」(1店舗)もヨークの傘下に入りました。
大竹 150坪の小型店である「コンフォートマーケット」は、これまでセブン&アイグループのなかで単独で事業を展開してきました。生産性を向上させるために、まずは店舗運営のシステムから改善していく方針です。
現在は休業に至っていますが、実験的な取り組みのなかには、ミールキットをはじめ成功例も実は結構あります。今後は当社の新規MDを組み合わせて利益が出せるフォーマットに育成していきます。それが実現すればより小商圏の立地へも出店が可能になるでしょう。
──新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けるなか、21年2月期の業績をどのように見込んでいますか。
大竹 見通しが立てにくい状況ですが、第1四半期の売上高は対前期比で2ケタ伸長を遂げています。人々のライフスタイルが大きく変わって「内食」化が進んだことで、SMの価値が見直されていると感じています。この傾向はしばらく続くと考えており、今期の業績は計画を上回ると想定しています。
──今後の「ヨークマート」の「ヨークフーズ」への改装と、新規出店の計画を教えてください。
大竹 改装については、人手が追いつくようであれば下期だけでも10店近く実施したいです。
新規出店については、年間2~3店舗を目標に据えていますが、できればペースを加速させたいですね。営業利益率が向上していけば、物件を獲得するための資金も捻出可能になりますし、複数のフォーマットを生かすことで、さまざまな立地に対応できると考えています。
会社概要
本部所在地 | 東京都江東区青海2丁目5番10号 テレコムセンタービル西棟12階 |
設立 | 2020年6月1日 |
資本金 | 30億円 |
売上高 | 1429億7800万円(20年2月期の旧ヨークマートの実績) |
店舗数 | 100店(2020年6月1日現在) |