アパレルのEC化率が高まるほど、ユニクロに完敗する明快な理由

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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最も効果のある広告は「店」

今最もコスト効率のよ広告は店である(UNIQLO HARAJYUKU,  2020, Diamond ChainStore)
今最も効果のある広告は「店」である(UNIQLO HARAJYUKU, 2020, Diamond ChainStore)

 消費者調査をすると、今最も効果のある広告は「店」であることがわかっている。ユニクロが海外進出時に、最も地価の高いところに、最もでかい売場を作る、あるいは、最近であればユニクロパーク(横浜)や原宿にポップアップストアを建てるのは、売り目的もあるが、実はブランディングの一環であり広告なのである。

  自分でものごとを論理的に考えず、代理店の言いなりになって高い金を投下するのは自殺行為だ。なぜなら、多くの消費者が見るのは、楽天やAmazon、ZOZOなどのモールだ。そこではAIが、「それを買うなら、もっと安い商品がありますよ」とレコメンドする。消費者は、そもそもブランドにロイヤルティなど感じていないのだから、安い方をポチって終わり、なのである。つまり、マーケターの言うとおりにして、広告投下すればするほど、似ている競合商品が売れるだけなのだ。広告投下しても利益率が減りつづけている企業は上記ロジックを疑ってみれば良い。カスタマージャーニーなどという言葉に踊らされ、まったく購買行動を分析できていない。

  このように、合理的に考えてみれば、アフターコロナの時代にECが拡大する余地はない。あるとすれば、企業の業績が著しく悪化し、売上全体が落ちる中で、相対的にECの比率があがるだけなのだ。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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