容器も原料も徹底効率化!イトーヨーカ堂「セブン・ザ・プライス」の新商品が発売

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

イトーヨーカ堂(東京都)は2025年8月25日、価格訴求型PB「セブン・ザ・プライス」の新商品を発表した。立ち上げからわずか4年で急成長を遂げた同シリーズは、消費者の生活防衛ニーズをとらえ、「セブンプレミアム」や「セブンプレミアム ゴールド」と並ぶ柱へと育ちつつある。今回投入するのは19品目。単なる安さではなく、効率化や食品ロス削減を通じて「価格と品質の両立」を追求する同社の姿勢を体現するブランドとなりつつある。

イトーヨーカ堂(東京都)は2025年8月25日、価格訴求型PB「セブン・ザ・プライス」の新商品を発表

25年度の売上高は前年度比150%超の見込み

 イトーヨーカ堂(東京都)は25年8月25日、PB「セブン・ザ・プライス」の新商品を発表した。同社がPBを強化する背景には、相次ぐ値上げと消費者の節約志向がある。物価高の影響で生活防衛意識が高まり日々の支出を抑えようとする消費者が増える一方、高付加価値商品を求める動きも根強く、いわゆる「消費の二極化」が進んでいる。こうした環境変化に対応するため、イトーヨーカ堂は価格帯ごとに「松竹梅」でPBを展開してきた。スタンダードの「セブンプレミアム」は全年代からの人気を獲得し、24年度に売上高1兆4000億円を突破。高価格帯の「セブンプレミアムゴールド」はシニア層から厚い支持を集めている。

 そのなかで「セブン・ザ・プライス」は、価格訴求型のブランドとして生活防衛ニーズを的確にとらえ、30代以下のファミリー層を中心に支持を拡大している。品質とコストパフォーマンスの両立が奏功し、売上高は24年度比で150%に達する見込みだ。24年末時点で211アイテムを展開していた同シリーズは、25年度中に300アイテム規模へと拡大。26年度も拡大を続ける計画だ。

徹底した効率化で低価格を実現!

 今回発表された19品目の新商品はいずれも購入頻度が高い定番が中心で、イトーヨーカ堂が掲げる「価格と品質の両立」を体現したものとなっている。

イトーヨーカ堂の営業企画室 室長 執行役員の中村哲士氏
イトーヨーカ堂の営業企画室 室長 執行役員の中村哲士氏

 たとえば「セブン・ザ・プライス 花かつお」(298円:以下税別)は、原料の仕入れから製品化までを一貫して管理することでコストを抑え、低価格を実現した

 「セブン・ザ・プライス にんにく塩だれ 570g」(278円)は既存商品の容器を流用し、新規製造コストを抑制することで低価格を実現している。「セブン・ザ・プライス たまごサラダ 320g」(398円)は製造過程で発生する規格外卵を活用し、食品ロス削減と低価格化を同時に達成した。さらに「セブン・ザ・プライス ツナマヨサラダ 270g」(398円)は、セブンプレミアム既存商品の原料や調味料を転用し、コスト削減と品質維持を両立させている。

 イトーヨーカ堂の営業企画室 室長 執行役員の中村哲士氏は「品質を損なわず、生活者が日常で納得感を持てる価格をつくることが重要だ」と力を込めた。新商品はいずれも25日から「イトーヨーカドー」の店舗で発売している。

記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修士課程修了後、関西のグルメ雑誌編集部を経て、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。関西小売市場やDX領域を中心に取材・執筆を担当している。現在は大阪府在住。

まとまった休日には舞台・映画鑑賞を楽しむほか、那智勝浦へ弾丸旅行に出かけることも。世界各国の家庭料理を再現するのも趣味のひとつだが、料理に入れたスパイスで歯が欠けたので今は控えめに取り組んでいる。

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