参入多いが難しいアパレルの多角化戦略、成功の秘訣は?
多角化は効率が悪い
だからこそ忘れてはいけないこととは
AppleのアップルウォッチやiPadを例に考えて見よう。最初、これらのデバイスがマーケットに出たとき、「信者以外は、誰があんなものを使うのか」と感じた人は多かったと思う。iPadはスマホより大きいだけだし、アップルウォッチはそれ単体でできることが少ないし、必ずもつべきという必然性が見えないのがその理由だ。
しかし、今は街にでると、「耳からうどん」と揶揄されたAirPodsもそうだが、さまざまなApple製品を使うユーザーであふれている。
Appleはアーリーアダプターの使用だけで終わらせずに、諦めずに改良に改良をかさねて市場を作っていった。それに対し、日本企業の多角化はP/L(損益計算書)が少し汚れると直ぐに撤退をしてしまう。もっともっと粘ってマーケットが形成されるまで待つということをしない。
このように、強みを利用するといってもしっかりとした分析と正しい進め方をしないと多角化は成功しない。SPAのSは、Specialty store (専門店)の略だが、服以外も取り扱う複合MDの場合、服しか扱わないシングルMDと比較して生産効率が非常に悪くなる。ここをいかに踏ん張るか、そして、踏ん張れるだけの「未来感」をみなが共有できているかが重要なのだ。
まとめよう。
- 多角化は企業が持つ「強み」で繋がっていること。
- その「強み」は絶対的なものでなく、競争上の相対的なものであること
- アパレルの「強み」は、多角化の「強み」にはなり得ないケースがあるので注意が必要
- これだけの分析ができたら事業参入から3年から5年は辛抱し、成功するまで待つこと
以上が、アパレル企業の多角化戦略の要諦である。
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プロフィール

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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