世界の「自国ファースト」カントリーリスクにアパレル業界はいかに対応すべきか
リスク分散で行う「プラスワンとは」
こうした、国ごとの政治、社会情勢、ビジネス上のリスクを分散化し、中国の北と南、東南アジア、タイ・ミャンマーのように、生産国を「分散化」をすることを「チャイナプラスワン」という。この「プラスワン」は、株式投資のようなもので、一点集中から複数にすることでリスクを最小化するというものだ。非常時に取り得る戦略というよりは、非常時に備えて採る「分散化戦略」である。
「最小ロットの問題」をいかに解決するか
このように生産国を分散化すると、一つの国への発注量は少なくなる。特に、日本のアパレルは2万社弱あると言われ、そのほとんどが売上100億円未満だ。それを、仮に4分割すると、いままで50億円(アパレル企業の調達量は売上の約半分)だった発注量が25億円に減ってしまい、取引高が大きく減少する。こうなると最悪の場合、工場からお付き合いを断られるケースも起こるだろう。この場合どうすべきか。
答えは、「商社を使え」だ。コスト意識を高めるため、自社貿易から商社をつかった間接取引にし、商社に他のアパレルとまとめてもらってロット数を上げるのだ。特に仲の良い商社は大事にし、小さいロットでも受け入れてもらえるように、普段からのコミュニケーションは大事にしたい。
以上が、地政学リスクの回避方法・対応策である。
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プロフィール

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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