ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
「グローバル定番商品が50品以上」となったすごい意味
さてファーストリテイリングは、サービス面では、グローバルベースでローカルごとにローカルにあわせて展開しているという。一方で商品については、世界中どこに行っても同じ「グローバル定番商品」の開発を進め、これが50品番以上になったという。これは有明プロジェクトが始まった17年8月期と比べると3倍以上に増えたことになる。
これはすごいことである。日本では、ユニクロの数千分の一の売上しかないアパレルの定番商品が300を超えるなど当たり前だからである。こういうKPIをみると、同社の「有明プロジェクト」にかける思いと進捗が伝わってくる。
「お客様の声を起点に商品化する」というのは、言うのは簡単だが実行するのは難しい。しかしファーストリテイリングは、米国の顧客の声からブラトップのアウター版、チクチクしないスフレヤーンニットなどを作り上げ店頭に並べた。このスピード感は驚異的である。
最後は、同じくグループ執行役員の新田幸弘氏のプレゼンテーションだ。
新田氏からは、持続可能な原材料調達とトレーサビリティに関する取り組みが発表された。課題としては「環境負荷の低い素材は具体的に何なのかについて、グローバルでも統一された基準がまだない」点をあげた。そのため、元の素材と比べて温室効果ガス削減量が確認されているリサイクルポリエステルなどの一部原料に限られているのだという。私が数年前から指摘しているように、グローバルでのビジネスプロトコルが統一されていないことが原因であろう。
そうしたなかで同社は独自にサステナブル素材を定義、「ユニクロ基準」というものをつくり「選択肢」を広げ、サステナブルな調達を推進していく考えだ。誠実で実直な同社である。きっと、Higg index含めたどの基準も「ユニクロ基準」の高さには叶わないだろう。
私のアイデアは、「コード統一委員会」のようなものをユニクロが先頭に立って、環境庁を巻き込んで立ち上げることだ。これを第三者機関として、「アジアのデファクトスタンダード」を獲得してはどうだろうか。中国、韓国、台湾、東南アジア、ミャンマー、バングラデッシュなど繊維産業国はほとんど日本を取り囲んでおり、ユニクロとも商売がある。自社都合を優先する川下の連中(小売)と話をいくらやっていても前に進まないので、こうしたアジアの工場とグローバル統一プロトコルをつくるのだ。
繊維製品の80%がアジアでつくられ、30%が余剰在庫で破棄される。日本はファーストリテイリングとそれ以外のアパレルではあまりに差が付きすぎているため、別組織にしてしまうのだ。こうすることで、それ以外のアパレルも追随せざるを得なくなると私は考えている。
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プロフィール
株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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