事業再生、「自ら課題解決する」現場に変えるための“生々しい”ノウハウとは

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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従業員50人と1対1でインタビュー
不都合な真実を知る!

mapo/istock mapo/istock

 さて、インプリメンテーションは、まずはインタビューからスタートする。インタビューには、絶対に誰も同席させない。「変なことを言わないだろうか」と気が気ではない人がインタビューに同席し、睨みを利かせたいからだ。こういう人間がいると、インタビュー対象者は本音を語らないし、極端なケースになるとインタビュー対象者はずっと黙ったままで、上司が最初から最後まで話すこともある。「それなら、俺の方が詳しいぞ」言わんばかりで、不都合な真実を隠ぺいするのだ。

 インタビューは、20人から50人の規模で行う。企画(MD)、生産、営業からトップを数名ずつ、キーパーソンを選抜する。一日に35人とインタビューを行い、10日ぐらいですべて終了する。途中、20人ぐらいにインタビューしたところで、おおよそ問題のありかが分かり、依頼された内容とは「異なる真実」が判明する。30人を過ぎると、あとは同じ内容の繰り返しになり、この段階までいけばインタビューは成功だ。これで、クライアント以上にクライアントの内状が理解できている状況になる。

 インタビューの成果物は、現場に見せなければならない。せっかく協力してもらったのだ、黙って持って帰ってはならない。協力してくれた人々を集め、辛辣な言葉がちりばめられたインタビュー結果を披露する。誰が発言したのかは秘密にしてあるため、誰も何も言わないし、こちらからも聞かない。ある種の異様な雰囲気に包まれ、インタビューセッションは終了する。

KPI駆使し財務分析
すべて適正値の場合、問題があるのは?

  次に、インタビューをしている間に同時進行で分析していた財務分析も披露することが多い。ここで財務分析の際の簡単なポイントを説明したい。

 どの現場にいっても、「在庫が山のように溜まっている」「回転率が異様に長い」「生産リードタイムも半年以上かかる」など、課題ばかりだ。そこで、本連載で再三説明している4KPI (プロパー消化率、オフ率、企画原価率、残品率)を駆使して、いろいろな角度から事業を分析するのである。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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