利益5000億円越え!世界で圧巻の強さのユニクロが中国で苦戦する理由とは

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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 同社は3Qまでは中国事業(グレーターチャイナ)で苦戦をしていたが、最後は売上収益6770億円(同9.2%増)、営業利益1048億円(同0.5%増)で大幅増収微増益でまとめた。「ユニクロ」は中国で1兆円の売上を目指している。経済情勢もあり、なかなか思うように進まない中国事業で1兆円をいつ実現できるかが、グループ売上5兆円を達成するうえでカギになるだろうと思う。グレーターチャイナ以外の海外事業である「北米」「欧州」「韓国・東南アジア・インド・豪州」はすべて大幅増収増益で、結果国内ユニクロ事業の倍以上の売上収益を稼ぎ出すに至っている。なお中国事業は既述の通り、円ベースでは営業微増益となったものの現地通貨ベースでは減益で、とくに上期は販売好調だったが、下期は苦戦し大幅減益となった。そこで、ブランディング強化、店舗のスクラップ&ビルドを加速させていく。

 中国市場に目を向けると、経済の悪化もあり消費者は単なる「ブランド」には目もくれず、ブランド品でなくとも縫製がしっかりしているなど、機能性と「コスパ」を見て消費をしている傾向がうかがえる。ユニクロが割高だと考え、敬遠する層も増えているかもしれない。そして、中国では日本のアパレルの競合は存在せず、中国のローカルブランドとの競争が激化している。さらに私達は、「中国人はデカいブランドネームが胸に飾ってある服が売れる」といまだに錯覚しているようだが、中国市場は我々が想像する以上に早く成熟化している。こうした厳しい競争に勝ち抜いた経験を持つ人材をスプリンクラーのように世界に派遣し、ファーストリテイリングは成長のスピードとシンクロナイズさせようと考えている

ユニクロの今後と課題

 柳井正会長兼社長は、決算説明会で「3兆円は通過点として“見えている”」と語った。次は、5兆円を目指し、10兆円までの絵を描いているという。やはり、この会社はこの先も「よりデカく、より高収益」を目指している。そんなファーストリテイリングを待ち受ける最大の課題は「人材」である。これは、柳井氏の発言をはじめ、幾度も繰り返された。国内でユニクロの理念を心から理解し、グローバルで活躍できる「人材」の数と質である。そのような人材をどれだけ採用するか、どうやって育てるか。258月期も増収増益を明言し、また、そうなるだろう。ユニクロが世界一のアパレル企業になる日は近い。

 

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プロフィール

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

筆者へのコンタクト
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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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