利益5000億円越え!世界で圧巻の強さのユニクロが中国で苦戦する理由とは

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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ユニクロ国内絶好調の理由の1つがインバウンドである理由

 まずは、「国内ユニクロ事業」から。売上高9322億円(前期は8904億円、対前期比13.1%増)で過去最高売上を更新。積極的な出店に加え、同3.2%増となった既存店売上が好調だった。暖冬により上期(9月~2月)は3.4%減となったが、高温に支えられた下期は11.7%増となった。

 同社は、世界中でユニクロのブランドが浸透してきた結果、円安の日本で「インバウンドの消費者が増えた」とも説明している。

 実際、私も中国のアパレル16社に対して、ユニクロの分析を講演した後に、彼らと一緒に銀座のユニクロを見学しにいった。なんでも、「日本の旗艦店へ行きたい」「ユニクロを日本で見たい」ということらしい。ユニクロの名前は確実に海外でブランドになっている。

 国内ユニクロ事業の売上総利益率は、原価率の改善と下期値引き率の改善により2.9ポイント改善し50.8%となった。その一方で、販管費率は人時生産性が大きく改善、売上増収による広告宣伝費比率の低減で0.5ポイント改善となる34.2%となったため、営業利益が大きく改善。営業利益は1558億円で同32.2%増となり、営業利益率は同3.5ポイント改善の16.7%という高い利益率を確保した。

 次に「海外ユニクロ事業」を見てみよう。売上収益17118億円(同19.1%増)、営業利益2834億円(同24.9%増)で2ケタ増収増益、営業利益率は0.8ポイント改善し、大きく利益率を上げた国内ユニクロ事業をなお上回る16.6%となった。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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