モスバーガーが音楽レーベルを立ち上げた“意外”な理由

2024/07/15 05:59
小内三奈
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全国各地から幅広い世代のスタッフが応募

モスレコーズオーディション風景
オーディションの審査風景

 いざ「音楽」に着目してみると、全国の店舗ではBGMをかけているのに、これまでモスバーガーでは、流す音楽にまったくこだわってこなかったことに気づいたのだという。

 「お店でおいしい食事を楽しんでもらうのに、BGMとして流す音楽にも意味づけが必要だと考えるようになった。さらに、コロナ禍において音楽活動の場が一切なくなってしまったことから音楽を諦めてしまったスタッフもいるはずだと思った」(太田氏)

 「人材確保」「店舗で流す音楽の意味づけ」「音楽活動の場の確保」という3つがリンクし、モスレコーズという音楽レーベルを立ち上げることが決まった。

 第1回オーディションの募集は、「歌手・シンガー」「バンド・ユニット」「DJ・トラックメイカー・DTMer」「ギター」「ベース」「ドラム」「ピアノ・キーボード・シンセサイザー」「作曲」「管楽器」「和楽器」「ダンサー」の11部門が対象で、2024年4月から5月末にかけて応募を募った。

 「最終的な応募数は、100組。店舗オーナーの皆さんもプロジェクトの趣旨を理解して、スタッフを応援してくれたのもありがたかった。全国から応募があり、世代も16歳から50歳と幅広い。応募の動機を読んでも、若い世代のパワー溢れる内容はもちろん、『一度諦めかけた夢だけどもう一度挑戦してみたい』といった勇気あるものまで、どれも本気度が高いことがひしひしと伝わってくる」と太田氏は話す。

 先日、太田氏とモスレコーズの監修者で音楽プロデューサーの海老原俊之氏の2名を中心に、厳選な審査を行った。審査に合格すると、楽曲制作やミュージックビデオ制作などにおいて海老原氏の協力を受けながら、配信デビューまでの活動をモスレコーズが全面的にサポートする。

 審査におけるポイントは、「音楽の素人の私が見るのは、モスバーガー創業からの『感謝されることをしよう』という利他の心があるかどうか。当社で働いてくれているスタッフには共通していると思うが、モスレコーズに所属するにあたっては、よりそういう心を誠実にもっている人かを見ていきたい」と言う。

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