好調ユナイテッドアローズ!「低い賃借料率」が成長阻む意外な理由
ユナイテッドアローズに広がる未来
私は、ユナイテッドアローズは。「唯一、ファーストリテイリングとは全く被らない独自のポジションを持つ上場企業」であると高く評価している。しかし、同時にシーイン、DHOLICなどのZ世代に力強いグリップを持ち、モンスターのように急成長するアジア勢を見ると、ユナイテッドアローズの将来戦略に書かれているような「エレガンス・ドレススタイル」にどこまで今の若者がついてくるのだろうかという気がしている。彼らは、スーツは普段着でスニーカーと一緒に着るし、あれだけ批判されたファストファッションを今でも繰り返しているかのようだ。
また、私はDHOLICから直接聞いたのだが、彼らのビジネスモデルはシーインのものと全く同じで、日本の関税をかいくぐり個配でD2Cで消費者に服を届ける。先日行われた我が娘(大手広告代理店の営業で給与水準は極めて高い)の結婚式のゲストのほとんどがシーインの服を着ていたと聞いてたまげたものだった。私達バブル世代は、「東京の人間は高く買った服を自慢し、大阪では安く買った服を自慢する」などと言っていたが、彼ら、彼女らは確実に「シーインで安く買ったこと」を誇らしげにしていた。そうした顧客セグメントにこれまでのユナイテッドアローズ的なアプローチが通用するかは未知数だ。
もちろんマーケットが完全になくなることはない。それでも、その顧客セグメントは限られたパイに収斂される気がしてならない。同社のブランドを愛し、心から応援している身として新しいデジタル世代の第二ラウンドに期待するとともに、彼らのブランド力、編集力を活用した新たな事業展開を熱望している。
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プロフィール
株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。
著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「
筆者へのコンタクト
https://takukawai.com/contact/
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