ヤマトがCVCを通じて越境ファッションECに出資するねらい

2024/06/11 05:59
堀尾大悟
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大企業とスタートアップがフラットに知恵を出し合える「器」

60%のオフィシャルサイトより
60%のオフィシャルサイトより

 真部氏が言うように、スタートアップにとってCVCから支援を受けるメリットは、単なる資金調達にとどまらない。自社にはない大企業ならではの知見や技術、リソースを活用できる点も、リソースの限られるスタートアップには大きな魅力の一つだ。

 実際にその効果は表れている。一例を挙げると、シックスティーパーセントでは、税関との手続きにおいてある課題を抱えていた。そのことをKIF側に伝えると、すぐにヤマト運輸社内の国際物流の関連部署を紹介してもらい、担当者と課題解決の方向性を話し合いながら、最終的に税関の承認を得られるスキームを構築できたという。

 「スキーム構築においてヤマト運輸側から貴重なアドバイスをいただくことができ、通関士ともスムーズにコミュニケーションをとることができた。おかげでかなりのプロセスをショートカットして課題解決までたどり着くことができた」(真部氏)

 大企業とスタートアップとの協業は、組織の規模に違いがあるがゆえに、大企業側のルールや価値観が優位になりやすい側面もある。それが、CVCという「器」があることで両社がフラットにコミュニケーションをとり、課題解決に向けて知恵やリソースを相互に提供し合える関係を構築できるのだ。

 「私たちのようなスタートアップがヤマト運輸をいきなり訪ねて『税関の担当者を紹介してください』とお願いすることは通常であればハードルが高い。そこを、CVCという独自のコネクションを持つことによって、ウェットなコミュニケーションができる点にものすごく恩恵を感じている」(真部氏)

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