郊外・ロードサイド立地で存在感増す「韓丼」がめざす「ファストカジュアル」とは

千葉 哲幸 (フードサービスジャーナリスト)
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いま、郊外のロードサイドで「カルビ丼とスン豆腐専門店 韓丼」(以下、韓丼)というチェーンが活況を呈している。「カルビ丼」と「スンドゥブ」(同店では「スン豆腐」と表記)などをリーズナブルな価格で提供するファストカジュアルチェーンだ。同店を展開するのは、京都府京都市伏見区に本拠を置く、やる気(大島幸士社長)。2010年9月にオープンした1号店「新堀川本店」(京都府京都市)を皮切りに、現在はフランチャイズを主体に70店舗(直営は6店舗)まで拡大している。

韓丼の看板。メニューの肝である「熟成醤油生だれ」を開発した、創業者の夫人をキャラクターにしている

月商1700万円の店舗も!

 やる気の創業は1988年2月。創業者で現相談役の大島聖貴氏が個人事業として、京都・祇園に焼肉店を開業、京都市内を中心に「焼肉やる気」の屋号で焼肉店を次々と出店していく。やがて食べ放題の焼肉店が人気を博すようになると、同社も食べ放題の店舗を展開していくが、マーケットが飽和状態だったこともあって、新しい業態を検討することになった。

 新業態の開発にあたり、同社が重視したのが、焼肉を切り口とし、かつ若い人が気軽に食べられること。試行錯誤の末、創業者の夫人が開発したタレに自信があったことから、「さっちゃんのカルビ丼」という夫人の愛称を冠したメニューを看板商品とした新ブランド「韓丼」を2010年にオープンした。

 前述のとおり、「韓丼」では、カルビ丼に並んで「スン豆腐」を看板メニューに据えている。これには、男性客にカルビ丼、女性客にはスン豆腐をアピールすることで客層を広げるというねらいが込められている。また、「カルビ丼とスン豆腐の両方を食べたい」というニーズにも応え、スン豆腐と小サイズのカルビ丼がセットになったメニューも提供する。

「韓丼」のメニュー。丼物、スン豆腐、セットに大きく分かれている

 価格はカルビ丼が590円、スン豆腐が690円から、ミニサイズの丼とスン豆腐のセットが990円で、平均客単価は880円。40坪の店舗に40席を用意し、月商1700万円を稼ぐ店舗もある。

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記事執筆者

千葉 哲幸 / フードサービスジャーナリスト
柴田書店『月刊食堂』編集長、商業界『飲食店経営』編集長を歴任するなど、フードサービス業界記者歴ほぼ40年。業界の歴史を語り、最新の動向を探求する。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社、2017年発行)。

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