変わるヤマダ電機 家電王者が”背水の陣”で奪いにくる「住」分野
家具と家電、シナジーを出せるか?
約1時間の記者会見では、「(大塚久美子社長と)お父さんとの関係」や「久美子社長の服の色」など、(どうでもいい)質問がなされメディアに取り上げられたが、この統合により、両社はどのようにシナジーを出すことができるのだろうか。
ヤマダ電機と大塚家具との提携は19年2月より始まった。
大塚家具で取り扱うソファをヤマダ電機で販売したり、人的交流を進めたりし始めた。7月には大塚家具商品を本格導入した「インテリアリフォームYAMADA前橋店」(群馬県前橋市)をリニュアルオープンさせた。記者会見で山田昇会長は「(コラボ店舗は)とてもいい。ぜひ一度見に来てほしい」と答えるなど、大塚家具とのコラボ店舗の出来に自信を見せた。
「これまでヤマダ電機で家具を取り扱ってきたが、価格帯は高くても5万円くらい。しかもその価格帯は売れず、2~3万円くらいのものがよく売れていた。コラボ店舗では、大塚家具の10万円の家具も取り扱う。すると、これまで売れなかった5万円代の家具がよく売れるようになった」(山田昇会長)。
これが記者会見で語ったヤマダ電機側の大塚家具を取り込むメリットである。
来期黒字化をめざす
大塚家具の勝算は?
たしかに、家具やリフォームを強化しているヤマダ電機にとっては、新たな商品の供給先として大塚家具を利用するのは、理にかなっているように見える。しかし、これまで大塚家具が得意としてきた、「高級路線」のラグジュアリー系商品とヤマダ電機の客層がマッチするかどうかは疑問が残る。
一方、大塚家具はどう変わるのか。具体的な改革案は、「8Kテレビなど、高級家電と関連販売することで、暮らし全体をサポートするように変えていく」(大塚久美子社長)という点だけだった。店舗数の増減や、売場面積の拡縮については、「構造改革でこの上期までに取り組んできた」と、これ以上は大きく変更するつもりはないという方針だ。
つまり、ヤマダ電機傘下で大塚家具が新たに取り組むことは、ヤマダ電機への商品供給を拡大することと、自社店舗で家電を販売すること、の2点である。
大塚家具は「来期に黒字化」することを目標と掲げている。この2~3年、さまざまな改革に取り組み、成果を上げることができなかった大塚家具の厳しい挑戦は続く。
※ヤマダ電機のリフォーム戦略については、『ダイヤモンド・ホームセンター12月15日号』にて詳しくレポートしています。
ダイヤモンド ・ホームセンター2019年12月15日号 「家電量販店が猛攻 リフォーム事業をリフォームする時!!」