アンテナショップ事業が起爆剤 テナント型からFCビジネス化で生まれ変わる近鉄百貨店のいま
北海道は3店舗目を計画中、他都府県も視野に
近鉄百貨店のアンテナショップ事業は、もう一つ、同社が掲げる経営改革とも深く結びついている。それは「店舗のスクランブルMD化」だ。
「これもテナント事業化が進んだ結果だが、店舗や商品構成が同質化し、多店舗との差異が図りにくくなっていた。また、お客さまの回遊性も低下していた」(長野氏)ことから、特徴のある店舗運営の一環として、1フロアにあえて衣食住の異なるカテゴリーを組み合わせる「スクランブルMD」の売場づくりに努めてきた。
「どさんこプラザ」をあえて2階コスメフロアの一角にかまえたのも、そういった「スクランブルMD」のねらいがある。
「『どさんこプラザ』ができたことで、お客さまの来店頻度も買い回りも、着実に高まってきた」(長野氏)
「スクランブルMD」においても、アンテナショップは大きなアクセントをもたらすコンテンツとして期待されている。「どさんこプラザ あべのハルカス店」の好調を受け、2022年11月には近鉄百貨店奈良店に2店舗目がオープン。3店舗目も目下計画が進んでいる。
さらに、北海道に続く第2弾として、今夏には他県のアンテナショップがあべのハルカス本店にオープン予定だ。「地域の魅力を生かしたフルーツや野菜、鮮魚などをメインに、独自の魅力を打ち出していきたい」と長野氏は力を込める。
物産展などで長年培ってきたバイイング力と編集力を発揮し、勢いを増す近鉄百貨店のアンテナショップ。「金太郎飴の百貨店」から脱却を図る切り札として、これからも注目したい。