[チューリッヒ 24日 ロイター] – スイス製薬大手ノバルティスは24日、米バイオ医薬品メディシンズを約97億ドルで買収すると発表した。心血管疾病治療薬の強化が狙い。
ノバルティスはメディシンズ株1株当たり現金85ドルを支払う。これは同社株22日の終値に約24%上乗せした水準。ノバルティスは、買収は既に取締役会の承認を得ており、取得資金は手元資金と短長期の借り入れで賄うと説明した。
ノバルティスは、メディシンズ買収により開発段階にあるコレステロール降下剤「インクリシラン」を入手する。同薬はノバルティスの心不全薬「エントレスト」を補完し、特許切れを迎える一連の医薬品によって脅かされる成長を補い、米アムジェンの「レパーサ」や仏サノフィと米リジェネロン・ファーマシューティカルズの「プラルエント」などの競合薬に対抗する。
ノバルティスによると、買収手続きは2020年第1・四半期に完了する見通しで、インクリシランは21年から売上高に貢献し始めるとみられ、将来的に売上高で最大規模の医薬品の1つに成長する可能性がある。
ノバルティスは従来、心血管疾病の医薬品は得意分野だったが、かつて年間売上高60億ドルを誇った「ディオバン」が12年に特許切れを迎え、それに直ちに続く医薬品が無かったことが打撃となった。
ノバルティスのナラシムハン最高経営責任者(CEO)は既存のビジネスモデルを新製品やテクノロジーで補完・強化する最大100億ドル規模のボルトオン型の買収に焦点を当てており、メディシンズの買収はこれに当てはまる。