セブン-イレブン、増税後は敢えて「金」シリーズで反転攻勢へ

2019/09/27 05:00
    大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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    金シリーズの新商品を続々投入!

     直近では10月11日から「金のミルクアイス」(198円:以下、税抜)を発売する。同商品は北海道産の生クリームや牛乳を使用。すでに販売中の「金のワッフルコーンミルクバニラ」の味をベースに、よりミルク感とコクを追求した商品だ。
     これ以外にも「金のしっとりバウムクーヘン」(198円)、「金のウインナー」(298円)、「金の豚角煮」(360円)「金のバターロール」(238円)などを続々と投入していく計画だ。
     消費税増税で消費者の節約志向が高まることが想定される。そうしたなかで通常より価格の高い同シリーズを強化する理由について高橋氏は「業績が不調だった上期でも同シリーズの売上高は同35%増と伸長しており、ここにお客さまのニーズがある。『質のよいものが値ごろ感のある価格で手に入る』ということを当社ならではの価値として提供していく」と説明する。

    20年2月期の新レイアウト導入店舗を期初予定より1000店増やす
    20年2月期の新レイアウト導入店舗を期初予定より1000店増やす

    新レイアウトの
    導入スピードを加速

     もう1つの大きな施策として、すでに進めている新レイアウトの導入スピードを加速させる。期初は今期約6000店としていた新規導入店舗を7000店まで増やし、期末までに累計1万400店を新レイアウト店舗とする。導入済みの店舗では、とくに売場を広げた冷凍食品と総菜の売上増が貢献し、平均日販が1万7400円(年間で635万1000円)増加する効果が出ているという(18年12月までに導入した411店の5月度実績平均)。

     競合のファミリーマート(東京都/澤田貴司社長)やローソン(東京都/竹増貞信社長)は下期、「家飲み」向け商品の提案や、中・低価格帯商品の拡充など、消費者の節約・低価格志向に対応した施策を打ち出すなか、商品のなかでもプレミアムラインを強化する方針を発表したセブン-イレブン。この戦略は吉と出るのか。
     なお、上期の商品政策では、成長戦略の柱の1つに据えていたデジタル戦略について、「7pay」終了後の今後の施策は発表されなかった。
     それ以外にも同社は7月、「7pay」開始と同時にセブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長)の共通ポイント「nanacoポイント」の還元率を1%から0.5%に引き下げている。これは「7pay」で支払いをすれば実質これまでと同等のポイント還元を受けられるようにして利用移行を促すためのものだったが、サービスが終了した今消費者にとってセブン-イレブンのポイント還元率は単に半減しただけの状況になっている。
     商品以外での競争力に不安も残るなかセブン-イレブンは反転攻勢に出ることができるのか、下期の動向に注目だ。

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    記事執筆者

    大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

    1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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