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連載「バイヤー必見!今行くべき専門店」第1回 提案増えるアジアンフード「タピオカ」の次はこれ!

 食品スーパーのバイヤーにとって、商品開発のためのヒントとして外食のトレンドは必ず押さえておきたいところだ。そこでこの連載では、外食トレンドの“今”をよく知る「ホットペッパーグルメ外食総研」上席研究員の有木真理氏に、食品スーパーの提案に生かせる、巷でポピュラーになりつつあるメニューを提供している専門店を紹介してもらう。
 記念すべき連載第1回の今回登場するのは、まだまだ暑いこの時期にもぴったりな、スパイスが効いたアジアンフードの専門店だ。

近年、食品スーパーの総菜でもアジアンフードが多く見られるようになった。写真はタイ料理の「トムヤクムン」と「ガパオライス」

「激辛ブーム」から
アジア各国の料理が普及

 最近では食品スーパーでも「ガパオライス」や「フォー」といった代表的なアジアンフードの総菜や、メニュー提案が多く見られるようになりました。
 このアジアンフードが日本の食文化へ定着し、ブームとなっている理由は諸説あるのですが、その1つに「激辛ブームからの派生」という説があります。
 激辛ブームの歴史は、1980年代に「カラムーチョ」をはじめスナック菓子を発端とした第1次激辛ブームから始まります。86年には「新語・流行語大賞」で「激辛」が銀賞に輝きました。
 その後90年代にタイの鍋料理「タイスキ」のレストランが東京にオープンし、その頃から今回のテーマであるアジアンメニューが日本に広まってきます。激辛なメニューを求める動きから、香辛料が効いたメニューが豊富なアジア各国の料理が日本に普及するようになっていったのです。それと同時に、それまでのわさびや胡椒などだけでなく、ハバネロといった唐辛子、シビレ系の花椒など、辛みも種類もバラエティを広げていきます。そして現在は第4次激辛ブームと言われています。

人気の海外旅行先1位である台湾のグルメがブームになっている。写真は台湾発のタピオカ専門店「Gong cha」

トレンドのヒントは
人気の海外旅行先にあり!

 外食メニューのトレンドを知るために参考にしたいのが、海外旅行先の人気ランキングです。なぜなら海外旅行先として人気が高まっている国のメニューが、外食のトレンドになることが多いからです。
 「エイビーロード海外旅行調査2019」によると「行った・行きたい渡航先ランキング」では現在、5年連続で「台湾」が1位に選ばれています。そしてこの間の日本では「タピオカミルクティ」や「小籠包」などの台湾のグルメが話題を集めるようになっています。海外旅行の渡航先で楽しんだ食はきっと印象に強く残るのでしょう。このように日本でブームになる傾向が強いのです。
 ではここからは、これから大きなブームになりそうな、じわり人気が高まっている注目のアジアンフードを提供している専門店を3店ご紹介しましょう。

①“ネクスト肉まん”に出会える!
「添好運」(東京都千代田区)

 ミシュラン一つ星に輝く香港発の点心専門店。庶民的な価格設定から「世界一安いミシュラン掲載店」とも言われています。18年に日本に初上陸し東京・日比谷に店をオープン。現在でも行列ができるほど人気を博しています。
 メニューはすべて店内手づくり。なかでも必食なのがシグニチャーメニューの「ベイクドチャーシューパオ」(3個580円:以下、税抜価格)です。外側の皮はメロンパンのような見た目と食感で、中には甘辛く、肉汁溢れる餡がたっぷりと入っています。このメニューは、テイクアウトも可能でお土産としてもおすすめです。日本では肉まんはすでに定着していますが、“ネクスト肉まん”として、このビジュアルと食感は面白いのではと感じています。

「添好運 日比谷店」外観 写真は公式Instagramアカウントより
「ベイクドチャーシューパオ」 写真は公式Instagramアカウントより

「添好運(ティム・ホー・ワン) 日比谷店」
所在地   東京都千代田区有楽町1-2-2 日比谷シャンテ 別館1F
営業時間  11:00~23:00(LO 22:00)※予約不可

➁日本人の舌に馴染みにやすい!
「バクテー」の可能性を知る
「新加坡肉骨茶」(東京都港区)

 シンガポール発で日本初上陸の「肉骨茶(バクテー)」の専門店です。肉骨茶とはマレーシア発祥のメニューで、豚のあばら肉を、漢方で煮込んだ料理です。味は日本人にも馴染み深い醤油ベースで、ヘルシーで食べやすいのが特徴。まずはスープを楽しんでから、具材を楽しみ、最後はスープにごはんを浸していただきます。少しずつ人気が高まっていて何らかのきっかけで大きなムーブメントが起これば、次に日本に定着するアジアンフードの1つになるのではと思っています。

「新加坡肉骨茶」外観 写真は公式Instagramアカウントより
「新加坡肉骨茶」外観 写真は公式Instagramアカウントより

「新加坡肉骨茶(シンガポールバクテー)」
所在地  東京都港区赤坂5-4-14
営業時間 11:30〜23:00

③朝食の新たな提案に!台湾グルメ「豆醤」
「明天好好」(東京都目黒区)

 前途のとおり台湾は海外旅行の人気渡航先のランキングで5年連続第1位に輝いています。そのため次にブームになりそうな台湾グルメにも、アンテナを張っておきたいところです。私がその候補の1つと見ているのが「豆醤(トウジャン)」です。アツアツの豆乳に揚げパンを浸して食べるメニューで、豆乳には、砂糖入りの甘いものと、醤油味のしょっぱいもがあり好みで選べます。また、ビーガン向けのメニューとしても注目したい一品です。
 豆醤は台湾では朝食によく食べられます。紹介している「明天好好」は朝食の時間帯は営業していませんが、新たな朝食メニューとして提案してみても面白いかもしれません。

「明天好好」外観 写真は公式Instagramアカウントより
「シェントウジャン」(豆乳がおぼろどうふのように固まった食べる豆乳スープ)写真は公式Instagramアカウントより

「明天好好(ミンテンハオハオ)」
所在地  東京都目黒区青葉台2-20-7
営業時間 11:00~23:00(LO 22:00)

 

「ホットペッパーグルメ外食総研」上席研究員
有木 真理(ありき・まり)

リクルートライフスタイル沖縄の代表を務めると共に、ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員として、食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成や更なる外食機会の創出を目指す。自身の年間外食回数300日以上。ジャンルは立ち飲み~高級店まで多岐にわたる。趣味はトライアスロン。胃腸の強さがうりで1日5食くらいは平気で食べることができる。「ホットペッパーグルメ外食総研」https://www.hotpepper.jp/ggs/