売場面積300~400坪で年商20億円は当たり前! 19期連続増収中のエブリイが成長のために下した重大な決断とは!?
売場面積300~400坪の地方の郊外型スーパーマーケットというと、諸条件にもよるが概ね年商大体12~15億円程度あれば十分な競争力を持っていると言えるのではないか。そうしたなか、年商20億円はザラという繁盛店を多く展開するスーパーマーケットチェーンがある。チェーンストアでありながら、徹底的な個店対応を行う、エブリイ(広島県/岡﨑浩樹社長)だ。
10年前と比べて売上は3.3倍に!
売場面積300坪で年商20億円前後というと、東京都心で展開するサミットストア本天沼店(杉並区)が年商18億8000万円、同三田店(港区)が20億8000万円の目標設定だ。エブリイの店舗の多くは300~400坪が中心なので、人口の厚い東京都市部で展開する小型スーパーマーケットに匹敵するような売上高をエブリイ店舗がたたき出していることがわかる。
エブリイは広島県に本部を構え、同県のほか、岡山県、香川県で43店舗を展開する、売上高816億円(2019年6月期)の中堅スーパーマーケットである(1店舗あたり平均年商は単純計算で約19億円)。現在まで19期連続で増収を達成中で、ちょうど10年前と比べると売上は3倍超、急成長する注目スーパーマーケットなのである。
そのエブリイを率いるのが若干40歳の岡﨑浩樹社長だ。令和がはじまった今年5月1日には、前社長・岡﨑雅廣氏の跡を継ぎ、エブリイはじめ9の事業会社を傘下に治めるエブリイホーミイホールディングス(以下、エブリイホーミイHD)の社長も兼務する体制がスタートしている。
岡﨑浩樹社長はグループのトップとして、「これまで同様、味にこだわる」方針を掲げる。その実現のため、エブリイでは、商品政策として「仕入れ力の強化」「商品力の強化」「販売力の強化」という3つのテーマに力点を置く。
なかでも「仕入れ力の強化」という点では、青果、鮮魚部門では地方の卸売市場との連携を強化。地域ニーズを取り込み、競合他店にはない商品の品揃えを図り、“距離の利”を活かした鮮度の良い商品を店頭で扱う。これにより、とくに鮮魚では、大都市の市場としか取引をしない大手スーパーマーケットには仕入れられないような、地域で需要のある旬の魚種を取りそろえることができる。各店の担当者が毎朝、地域の市場に赴くのだから手間もかかるが、それにより“エブリイならでは”“エブリイでしか”の商品をお客に提案でき、それが絶大なお客からの支持につながっている。
こうした商品は小魚も多く、調理に手間もかかる。だがエブリイでは対面コーナーを設け、時間帯に合わせて丸物、切身、刺身と形態を変えて売り切るというように、地場ならではの魚の良さを活かしきる体制を整えている。
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エブリイが出店戦略を切り替える、重大な理由と勝算!