SMの生き残りの選択肢は限られてきた=CGCグループ代表 堀内淳弘
──地域の食文化も守っていかなければいけません。
堀内 そのとおりです。たとえばフランスは自国の食文化を守ろうとファストフードの出店をある程度規制しています。脂っこくて食べやすいファストフードが市場にあふれると食文化が崩壊するということで、小学校によっては月に1回、フランス料理のコックさんが料理を振る舞う日があります。
子どもは「おふくろの味」を小学校低学年までには覚えてしまうそうですが、日本で起こりつつあるように、家族団欒の食事のおかずが大手コンビニエンスストアのプライベートブランド商品だけになってしまったら、わが国の食文化は崩壊してしまいます。だからSMは日本の食文化を守り、地域の食を後世に残していかなければなりません。
不便さを解消して超高齢社会に備える
──今後、SM業界で課題となるのはどのようなことですか。
堀内 やはり、高齢者への対応だと思います。今の団塊の世代(1947年~1949年生まれ)はまだまだ元気ですが、10年後、その世代が75歳を超えたときにこの国がどうなるかというのは相当深刻な問題です。おそらく高齢者の生活は一変するはずです。それにSM業界も備えなくてはなりません。
私も年をとって不便さを感じることが増えてきました。
たとえばシャンプーやリンス、ボディソープといったお風呂まわりの商品は、眼鏡をはずしていると違いがほぼわかりません。「シャンプー」「リンス」といった文字は小さくて見にくい。容器の色を変えたりすれば違いがわかりやすくなるでしょう。さらに言うなら、お風呂まわり、台所まわり、洗面所まわりと、それぞれ使う場所によって商品を色分けすることも有効だと思います。これは製造業の皆さんのご協力なしには実現できません。また、売場のゴンドラのゴールデンゾーンは数十年前から高さが変わっていません。高齢者は腰が曲がってきますし、高いところにある商品には手が届かなくなります。
そういった不便さを解消することもSMの重要な仕事だと考えています。協業活動でも製造業各社さまとの取り組みを強化して超高齢社会に備えたいと思います。