SMの生き残りの選択肢は限られてきた=CGCグループ代表 堀内淳弘
後継者問題がM&Aを活発化させる
──CGCグループは「異体同心」で活動してきましたが、今後は「同体同心」になっていくということですか。
堀内 長い目で見るとおそらく一緒になっていくと思います。というのも、中小SM企業の中には、後継者不在、経営環境悪化などに起因して、「株式をいくらか持って欲しい」といった話が至る所にあるからです。
それはSM業界にとっては悲しいことです。しかし、年商20~30億円クラスのSM企業には、跡を継ごうという奇特な後継者はまずいないのが現状です。
われわれの世代は朝早くから夜遅くまでモーレツに働くことが苦になりませんでした。しかし、小規模なSMで、あまり将来性や成長性がないことが明らかであるならば、創業者である親は大変な思いをすることがわかっている事業を子どもに継がせようとはしないでしょう。その意味では、後継者問題がSM業界のM&Aを活発化させている要因の1つと言えます。
独立経営をなんとか保ってきた創業者は、競争環境が厳しくなっても最後の最後まで頑張るでしょうが、後継者問題は事業撤退の決定打になります。その際は事業を譲渡するか、廃業するかしか選択肢はありません。従業員のことを考えれば、事業譲渡を選択する小売業は多いと思います。
──CGCグループ加盟企業の総年商は4兆2000億円を超えます。堀内代表は、常々、単に年商を足し算した数字を喧伝しても何の意味もない、と話しています。
堀内 はい。先ほど年商1000億円で一人前だと言いましたが、その次はリージョナルチェーンで3000億円、次の段階では年商1兆円クラスの企業規模が必要になります。
そうなると、国内では5つか6つの企業グループしか生き残ることができないと考えています。
実際、海外のSM業界に目を向ければ、イギリスは4社、フランスは小売業の上位10社のうち国内勢は5社しかありません。
わが国では、イオン(千葉県/岡田元也社長)グループさん、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/村田紀敏社長)さんが流通ビッグ2として君臨しています。ほかには、ニチリウ(日本流通産業:大阪府/大桑?嗣社長)さん、生協さん、そしてわれわれCGCグループがあり、食品をメーンに取り扱う大手企業グループがすでに5つもあります。
家電量販店はヤマダ電機(群馬県/一宮忠男社長)さんがありますし、衣料品では「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング(山口県/柳井正会長兼社長)さん、しまむら(埼玉県/野中正人社長)さんといった強力な企業がすでに大きな「パイ」を持っています。最寄品である食品については1社のシェアはまだまだ低いものの、今後は徐々に高まっていくのではないでしょうか。