グループとしてのシナジーをより発揮=西友兼ウォルマートジャパンHD CEO 野田 亨

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
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──西友さんが考える低価格の“低”は、何に対しての“低”でしょうか?

野田 一つは、マーケットにおいて安いということ。お客さまは競合と比較したうえで「西友のほうが安い」と判断されるわけですから、マーケットにおいて、つまり競合他社に対して安いということです。

 もう一つが、これまでの価値概念に対して安いということ。「こんなにも安ければお買い得だね」と言っていただけるような価格を打ち出すことです。たとえば2年ほど前、当社ではバナナを1房97円で販売しました。なぜそうしたかといえば、1房100円を切ることで、安いという印象をお客さまに持っていただけるからであり、競合他社と比べても価格差が大きいからです。ちなみに現在では、バナナを1房88円で販売しています。

店舗の生産性は毎年2~3割もアップ

──EDLPを実現するには、EDLC(エブリデイ・ロー・コスト)の態勢構築が不可欠ですが、EDLCの進捗度はいかがですか?

野田 価格を下げるための裏づけとなる、“コスト”は着実に下がり続けているという状況にあります。当社はウォルマートと提携後、地道に物流改革やムダなコストを省くための仕組みの導入を行ってきました。ディスカウントリテーラーとしての低価格を実現するためには、どれだけコスト削減をしなければならないのかということをまず考え、コストを省くための仕組みを作り上げ、そしてその仕組みに則ってコスト削減を進めてきました。

 その結果08年後半から、EDLPを具体的に実現できるコスト構造が構築されてきたというわけです。

 とくにこの2年間のコスト削減、効率化はめざましいものがあり、店舗の生産性は毎年2~3割も上がっている状態です。

──さらに低コスト体質を追求していく意味でも、今後どのようなシステムに投資を行う計画ですか。また、それによりどのような改善効果が得られると考えていますか?

野田 実は当社はまだウォルマートのシステムを使いこなしていません。とくに商品調達分野については完全に統合されていないので、それがうまく機能すれば世界中のデータをリアルタイムで、しかもどういうプライシングにすればどれだけお買い上げいただけるのかがわかる仕組みが構築されます。さらにそれと物流の仕組みをリンクさせ、次いで店頭での需要予測にもとづいてレイバー・スケジューリング・プログラム(LSP)にまで結びつけていく考えです。こういったものがすべてリンクすれば、非常に大きな効果が発揮されると考えています。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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