グループとしてのシナジーをより発揮=西友兼ウォルマートジャパンHD CEO 野田 亨

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
Pocket

──店舗ごとに顧客層は随分異なると思うのですが、この対応についてはどのように考えていますか?

野田 “すべてのお客さまに100%の満足を提供できる”という驕りを私たちは持っていません。その中のいちばん大きいニーズをしっかりとらえて、充足させたいと考えています。

 その中心となるのが食品や日用品など、日ごろの買い回り商品です。それについては、私たちは最高の価値をご提供していきます。

 加えて大型店や中型店では、ワンストップショッピングという利便性をしっかりと提供しながら、衣料品と住居用品について対応していく考えです。

競合より安く、従来の価値概念よりも安く

──日ごろの買い回り商品にフォーカスするという話ですが、西友さんでは“カカクヤスク”をキーワードに低価格戦略を強化しています。

野田 私どもがお客さまに提供しうる価値は大きく4つあると思っています。それは、価格と品揃え、品質・鮮度、そして利便性。この4つが、私どもが考える価値の源泉です。

 その中でも、今の段階では、とくに価格に重きを置いています。なぜかといえば、「今お客さまが低価格をお望みだろう」ということをデータや調査のうえで知っているからであり、ウォルマートグループの一員として、お客さまに大きくアピールしうるポイントが価格であるからです。

 そういうわけで西友は、価格政策を重視し低価格を打ち出しています。

──西友もウォルマートの代名詞である“EDLP”(エブリデイ・ロー・プライス)政策を進めていますね。

野田 社内でEDLPという言葉を言い始めたのが2008年2月の社員集会で、これがEDLP元年です。かつて西友はEDLPに近いことにトライしてみたことはあります。しかし、それは用意周到な準備のうえで行われたわけではありませんでしたから、それ以来、社内ではEDLPという言葉を使うことに非常に慎重になっていました。08年2月にEDLPという言葉を使い始めたということは、それを具現化できる環境が整ったという意味です。

 EDLPの定義については、基本的に“毎日低価格”であることです。

 相場商品のような毎日価格が変動する商品も含まれますし、競合との関係もあります。だから、常に一定の価格かといえばそうではない商品もあります。

 ただ基本的には、私たちがコア商品と呼んでいるグロサリーや住居用品などは、極力毎日同じ価格でかつ低価格でご提供していきます。

1 2 3 4 5

聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態