「これから100年は厳しい時代が続く」原点回帰で足場固めを急ぐ=ユニー 前村哲路 社長
──GMS衣料品改革で実績ができたことは、今後のGMS改革に向けていい傾向ですね。
前村 そうですね。衣料品、住居関連、食品の3部門のうち、最初にPBの開発体制を整えたのが衣料品でした。商品の企画、開発、製造といった機能を自社で持っています。
現在は生産拠点全体の90%近くが中国にありますが、中国の人件費などコストが徐々に上がっています。時間はかかりますが、今後は生産拠点全体の40%の程度をベトナム、ミャンマー、カンボジアといった国へ移してしていく計画です。
──衣料品部門で一定の手応えがありました。次の課題として何に取り組みますか。
前村 次の課題ははっきりしています。生鮮食品の収益力の改善です。
当社の食品部門の中で、生鮮3品の粗利益率は20%程度で、競合他社に比べて3~5%低い水準です。これはコンセッショナリー分も含めた数字ですが、その分を差し引いても生鮮3品の粗利益率は引き上げる必要があります。
そのためには商品の管理レベルを高めるほか、商品化技術の向上、仕入れの見直しなどの改革を進めて行きます。生鮮3部門には大きな収益源が眠っていると思いますね。
今期はまず、1%強の粗利率改善をめざします。私がこう話すと取引先さまは非常に神経質になります(笑)。しかし、当社が意図しているのは決して仕入れ条件の変更が第一ではありません。あくまでもMD改革を通じて実現したいと考えています。
収益力改善という意味では、過去5~6年間は作業改善にも力を入れてきました。たとえば店舗レベルの改善として、ストップウォッチを片手に作業動線管理をするといった活動です。さらなるムダ削減に向けて、今も努力を続けているところです。
店舗独自の社内コンクールで現場の士気が向上
──過去4年間でモール型ショッピングセンター(SC)を10店と、大型店を積極的に出店してきました。今後の出店戦略についてお教えください。
前村 この4年間は大型店の出店が続きましたから、毎年300億~400億円の投資をしてきた計算になります。その結果、単体ベースの有利子負債は2500億円以上になっています。今後は金利が上昇すると見られるため、有利子負債を2000億円程度まで下げる計画です。当面は、投資を少し抑制しなければいけませんね。
ただし、最近はオークワ(和歌山県/福西拓也社長)さん、平和堂(滋賀県/夏原平和社長)さんといった県外企業の出店意欲が旺盛で愛知県に侵攻されていますから、ドミナントエリアを防衛する必要があります。食品スーパー(SM)業態の「ピアゴ」を中心に、年間5店舗程度は出店していきたいと考えています。