震災後はいっそう、価格志向と提案力が求められる時代になる=ヤオコー 川野清巳 社長
震災後に商品不足が続き、お客さまに買い回りする動きが起きました。お客さまは買い回る中で、どこの企業がいちばん頼りになったかを見たはずです。「ヤオコーは頼りになる」と思い続けていただけるような店をつくり支持をいただくには、今しかありません。
顕著だったのは、インストアベーカリーです。震災後にナショナルブランド(NB)メーカーさんのパンが欠品しました。インストアベーカリーの商品はNBの不足分を補えるほどの量はありませんが、NBに比べたら十分な商品量がありました。そこでインストアベーカリーのパンを購入したお客さまが固定客になっています。震災の影響が落ち着いて以降も、インストアベーカリーの売上は落ちていません。こうしたお客さまを逃がさないようにしたい。お客さまに飽きられないようにすることが、私たちの仕事だと思っています。
被災地支援は長期にわたって続ける
──被災地支援として、2億2000万円の寄付に加えてヨークベニマル(福島県/大高善興社長)の従業員の避難者を受け入れるなどの支援活動にも取り組みました。
川野 寄付につきましては、まずは日本赤十字社に、その後は宮城県、岩手県、福島県、茨城県、千葉県の各県、国境なき医師団やユニセフにも送っています。
一方、ヨークベニマルさんのような同業仲間の方々にできることは、それほど多くはありません。商品供給はセブン&アイグループのほうが圧倒的な力があります。ただ、福島県は放射能の問題がありますから、避難される方がいらっしゃるなら受け入れたいと申し出ました。
当社としては、被災地への支援に長期的に取り組もうと考えています。
たとえば、来年の高卒者の採用を福島県でも実施します。ヨークベニマルさんが毎年、採用のために通っている高校をご紹介いただいて、当社で採用する計画です。被災地の大卒者については、交通費や面接時間などで就職活動の負担を軽減できるように配慮していきます。
また、今回の震災ではご両親を亡くした子どもたちがたくさんいます。その子どもたちには長期的な支援が必要になるでしょう。そうした支援金をどこに寄付したらよいのか、人事総務本部で検討しているところです。
さらに、社員の家族も400家族ほど被災しました。その方たちにもできる範囲のことをしっかりやっていこうと考えています。