近年は店舗改装、SMシフトに注力……平和堂が打つ再成長に向けた布石

下田 健司
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近年は店舗改装に注力、その成果は?

 平和堂がここ数年、戦略的に取り組んできたのが店舗改装だ。収益力を高めるため、新規出店よりも店舗改装による既存店の活性化に力を入れてきた。既存店投資が新店投資を上回る年が多く、2021年度を見ても新店投資4億円、既存店投資40億円、2022年度計画でも新店投資9億円、既存店投資72億円と既存店投資の比重が大きい。

 店舗改装は計画的に進められてきた。2014年に食品売場の改装に着手し、2021年度からは食品だけでなく、衣料や住関連の直営売場面積の適正化を図るとともに、テナント導入やコミュニティゾーン機能強化を含め館全体に及ぶ改装を行ってきた。改装店舗数は食品改装にかぎってみると2014年度から2021年度まで延べ107店舗に達している。
 
 具体例を見ると、2021年度に改装を実施した「アル・プラザ鶴見」(岐阜県)では、好感度の売場づくりをめざし、碁盤目状になっていたレイアウトに曲線の通路を多用したり、照明や天井に意匠を施したりするほか、自営の文具売場とテナントの書店との連携も試みている。「アル・プラザ武生(福井県)」では、食品売場の大型改装に加えて、客が楽しめるスペースとして地域サロンを設けるなど館全体の価値向上を狙った改装を行っている。

 2022年度に入ってからも引き続きこうした改装を実施しており、アル・プラザ高槻やアル・プラザ長浜での改装は食品・衣料・住関連、テナント・コミュニティゾーンなど全館におよんでいる。平和堂によると、2021年度から2022年度上半期に改装した店舗は、改装前と改装翌月から2022年8月までの売上の伸びは3%増という改装効果があったとしている。

生産性向上、都市型小型店開発を推進中

 店舗改装に加えて、2018年度からは人件費単価アップと筋肉質経営の両立という目標を掲げ、生産性向上に取り組んでいる。その結果、2021年度は2017年度に比べ、総労働時間9%減、人件費単価7%増、人件費2%減という結果を出している。

 既存店活性化や生産性向上に取り組む一方、都市部攻略に向けた300坪程度の店舗の開発にも乗り出している。300坪店舗はすでに展開しているが、店舗による売上のバラツキをなくすように修正し本格展開に備える。

 現在、2011年開店の「フレンドマート西淀川千舟店」(大阪府)を2022年2月に改装し都市型300坪店舗を実験中だ。さらに、過疎地域やすでにドミナントを形成しているエリアでも収益が見込める小型店舗を2022年度にも出店する予定だ。
 
 平和堂の年商推移を見ると、2000年代終盤に4000億円を割り込んだものの、2010年代に入ると成長軌道に戻し4000億円台に乗せたが、店舗改装に軸足を置いてきたこともあって、ここ数年はほぼ横ばいを続けている。既存店活性化や生産性向上の取り組みはどのような成果を残せるか。次の成長に向けた試金石となる。

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