レシートは語る第9回 バロー、デスティネーション・ストア化の成果が如実に

2022/10/19 05:55
    山室 直経 (mitorizDMB本部 本部長)
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    アマゾンとの即時配送
    認知率は20%弱

     コロナ禍ではネットスーパー需要が大きく拡大した。バローHDもアマゾンジャパン(東京都)と提携し21年6月から愛知県の一部エリアで最短2時間配送を開始。現在、サービス提供エリアを14市2町まで広げている。

     今回アンケートを行った全回答者のうち、バローのネットスーパーの認知率は19.5%。このうち利用したことがある人は1.4%だった。バローのメーンユーザーに絞った認知率でも26.1%、利用したことがある人は0.7%と、サービスエリアが限定的であることから実際に利用している人はまだ少数だ。

    決済やポイント制度に
    要望の声あり

    Amazon.co.jpのWebサイト上で展開するバローのストア

     利用経験者に購入したことある商品について聞くと、重量のある「水やお茶などの飲料」といった商品や、PBで支持の高かった「冷凍食品」、「牛乳・乳製品」が上位に続き、通常店舗で購入されている商品とあまり変わらない傾向にあった。

     しかし、約半数が注文頻度を「半年に1回」と回答していることから、まだふだん使いをしている人は少ないようだ。「配送が無料になる総額が8000円と高い」「送料も取るのであまり高いと注文を辞めようかと思う」といったコメントもあり、店舗で購入するよりも割高に感じてしまうことが、利用頻度が低い要因の1つと考えられる。

     そのほか「PayPayが利用できるとよい」「カード払いでもポイントをつけてほしい」といった要望の声も挙がっていた。

     このように、価格への抵抗感や、決済やポイント制度における課題はあるものの、ネットスーパーは時代のニーズに即したサービスであり、今後改善を重ねていけば利用が浸透する可能性も大きいだろう。
     
     競争環境が激化する小売業のなかで、今後バローがどのような戦略でさらなる躍進を見せるのか引き続き注目したい。===========================================
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    記事執筆者

    山室 直経 / mitoriz DMB本部 本部長

    山室直経(やまむろ・なおつね)

    神奈川大学経営工学科卒業。パソコンメーカーを経て、米リサーチ会社にてコンサルティング業務を学ぶ。その後、大手家電量販店子会社のパソコンメーカーで経営企画室に従事。計数管理とERP導入による業務改善などのプロジェクトを経験した後、2012年3月ソフトブレーン・フィールド入社、消費者購買データ事業の新規立ち上げを行う。

    現在はデータを軸とした事業開発と当社の基幹システムのDX戦略を担う

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