レシートは語る第9回 バロー、デスティネーション・ストア化の成果が如実に

2022/10/19 05:55
    山室 直経 (mitorizDMB本部 本部長)
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    商品単価は
    40円以上も高い結果に

     続いて21年8月~22年7月までの3チェーンのレシートデータを分析し、その利用動向の推移を比較した(図表3)。

     その結果、「バロー」のレシート1枚当たりの平均購入個数は6.8個と最も少ないが、レシート単価、商品単価が他2チェーンと比較して40円以上も高い。
    バローは、生鮮品の品質を高めることで、客単価を伸ばし、結果、全体売上高を伸ばす戦略を打ち出しており、その成果が出ていると言えるだろう。

    他チェーンよりも
    商品を値上げも・・・

     一方、バローの「商品単価」をみると、食品の値上げの影響を受け、21年8月と22年7月を比較して価格が約20円上昇していた。同様に他チェーンの商品単価の推移を分析したところ「マックスバリュ(-17円)」、「カネスエ(+1円)」とバローに比べて増加はしていなかった。

     競合との価格差から、メーン利用店舗から切り替えられてしまう懸念もあるが、「バローのレシートの投稿頻度」を参考にすると、一時期頻度が少し下がったものの、また回復、維持をしていることがわかる。価格に頼らずとも、品質を重視する顧客からの支持を着実に得ていることが結果に表れている。

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    記事執筆者

    山室 直経 / mitoriz DMB本部 本部長

    山室直経(やまむろ・なおつね)

    神奈川大学経営工学科卒業。パソコンメーカーを経て、米リサーチ会社にてコンサルティング業務を学ぶ。その後、大手家電量販店子会社のパソコンメーカーで経営企画室に従事。計数管理とERP導入による業務改善などのプロジェクトを経験した後、2012年3月ソフトブレーン・フィールド入社、消費者購買データ事業の新規立ち上げを行う。

    現在はデータを軸とした事業開発と当社の基幹システムのDX戦略を担う

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