イオン22年度1Q決算“GMS黒字化”が示す 吉田新体制下の改革本気度と今後の焦点とは
サステイナビリティの時代
先月、筆者はこの場で、ファーストリテイリングは基幹のユニクロを従来よりもサステイナビリティに寄せるブランド再定義を行い、現在ユニクロが担っているアフォーダビリティ(手頃な価格で高品質の衣類を提供すること)の一部をGU(ジーユー)に肩代わりさせる時期が来たのではないか、というアイデアを皆様にご案内しました。
公開された記事を知人に紹介したところ、老若男女を問わずポジティブな反応をいただき、筆者は意を強くしました。それだけ宇宙船地球号の軋みを気にかけている人が増えていることなのでしょう。それは、地球号に乗船する期間の長い若い人ほどそうした意識が強いはずです。ファーストリテイリングは来たる8月本決算の場で、新しいストーリーを垣間見せてくれることと心待ちにしています。
さて、そのファーストリテイリングの2022年8月期第3四半期の決算は素晴らしい内容でした。特に、欧米ユニクロ事業が公約通り黒字転換し、グレーターチャイナの不振を補った点に、同社のマネジメントの巧みさが象徴されていると思います。
「過去最高」を更新したイオンのQ1決算
しかし、それ以上に好印象の決算がありました。イオンの2023年2月期第1四半期決算です。
営業収益は前年同期比+2%増の2.2兆円、営業利益は同+12%増の438億円、経常利益は同+10%増の443億円、そして親会社株主に帰属する四半期純利益は約4倍弱の193億円になり、いずれも過去最高を更新しています。
ただし、この23年2月期第1四半期は特別利益として関係会社株式売却益及び段階取得に係る差益の合計269億円を税引き前に計上しました。これを調整すると、親会社株主に帰属する四半期純利益の実質的な伸びは見た目ほど大きくないことが推察されます。
しかしこれを差し引いたとしても、十分に注目に値する決算だと思います。
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