27期連続増収のバローHD!好業績牽引する「デスティネーション・ストア」とは何か

崔 順踊(リテールライター)
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「デスティネーション・ストア」への転換で新たな需要を喚起

 バローHDの掲げる「バローグループ・ビジョン2030」の大きな柱は、地盤となる東海エリアにおいて豊かさと利便性を追求した「バロー経済圏」の構築と、展開全地域において、商品力によって顧客に選ばれる企業である「デスティネーション・カンパニー」の構築である。

 昨今のドラッグストア・コンビニエンスストアなど小売他社の食料品強化やAmazonを代表としたECにおける食料品購入の増加など、スーパーマーケット業界は大きな転換が迫られている。商圏の近さによる優位性が失われていく中、同社は目的来店性を向上させる「デスティネーション・ストア」化をさらに加速していく。

 具体的には、製造機能を強化することによってPB商品の比率を向上させ、新鮮な果物や丸魚を見せる臨場感のある水産売場などを設計し、生鮮食品を強化する。

 郊外店を中心行ってきたこれまでの店舗改装の効果としては、客単価の上昇が見られ、客数が増加した店舗では相乗的な売上増加につながっている。今期は店舗改装を28店で実施する予定であり、改装による収益向上を見込む。また、これら店舗においてカットフルーツによる果物比率の上昇や丸魚を見せる売場展開など「商品力の強化によって顧客に選ばれる店」づくりを進める。

 一方で、駅前や商店街など店舗坪数の大きくない都心部での店舗展開においては、2005年に買収した「タチヤ」および21年に買収した「八百鮮」などの経営資源を活かしながら、生鮮部門に特化した業種店(専門店)を拡張していく。業種店では、前述した店舗において堅調な利益貢献があったことから、新鮮さで顧客から選ばれる店づくりを継続していく。

 また、LuVit(ルビット)カードの会員数は現在376万人、アプリ会員数は53万人おり、順調に推移している。今後もカードやアプリなどを通じた顧客との接点も強化していく。

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