DXでリアル店舗従業員の働きがいをつくることが重要なワケ
店舗サービス業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の在り方とこれからの店舗の在り方を店舗運営の業務効率化や従業員の体験価値向上の観点から考える新連載「リアル店舗のDX革命」。第1回では、昨今の外部環境の変化から、私たちがDXの本質と考える「働きがいある店づくり」について話します。
人が提供する無形の価値
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、3年前に比べるとDXを推進する企業がだいぶ増えたように感じます。しかし実際には、単なるIT化やITツールの機能比較に留まるケースも散見されます。
店舗サービス業を取り巻く外部環境の変化を「①競争環境の変化:商品市場の変化」「②労働市場の変化:労働力人口の変化」の2つに分けて考えてみます。
まず「①競争環境の変化:商品市場の変化」について、これまでは出店拡大によって店舗数と購買力を増し、低価格を実現する「薄利多売」による競争が一般的でした。人口が増加するなかで、この勝ちパターンで成長してきたのがチェーンストアです。しかし現在は人口が減少に転じ、出店余地もなくなりつつあります。このような環境では「薄利多売」モデルを成立させることは難しくなります。
また、コロナ禍で店舗ビジネスはECとの競争、あるいは融合が求められています。つまり店舗ではECにはない「空間の価値」を活用したサービス提供が必要なのです。商品を手に取れる、試着や体験ができる安心感、専門性のあるスタッフに相談できるなど「人」が提供するサービスという「無形の価値」の重要性が今後はいっそう高まります。すなわちサービス力が店舗の競争優位性となり、「コト・トキ消費」といった顧客ニーズに適応していかなければなりません。
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