Woltが事業を本格的に拡大、処方薬の配送も 2022年は日本の「Qコマース元年」に

西岡 克(フリーランスライター)
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デリバリーサービス「Wolt(ウォルト)」を展開するWolt Japan(東京/野地春菜代表)は2022年を日本の「Qコマース(即時配達)元年」と位置付け、本格的な事業の拡大に乗り出す。小売業の商品を配送するリテール事業では4月から東北や東京を中心に新規加盟先を増やし、5月には名古屋にサービスエリアを拡大。流通取引総額で前年の15倍を目指す。法人向け即時配送プラットフォーム「Wolt Drive」の運用も始め、院内処方薬を即時配送する実証実験を始めた。配達専用スーパー「Wolt Market」は初夏には東北に進出する。

4月14日に開いたWolt Qコマース戦略説明会で。中央が高木慶太リテール事業本部長、右が配達専用スーパーを担当する福井優貴エクスパンションマネジャー

イオン東北などと新たに提携、エリアを拡大

 4月14日に都内で戦略説明会を開いた。ウォルトはフィンランド発で欧州とアジア23カ国でデリバリー事業を展開する企業で、日本には20年3月に上陸。現在22都道府県・38エリアでサービスを提供している。料理宅配にとどまらず、食料品や日用品、化粧品などの商品を注文から30分程度で届ける「Qコマース」に注力しており、アプリやウェブサイトから簡単に注文できることから、多忙な30代の子育て・共働き世代を中心に徐々に浸透している。

 主力のリテール事業では、現在北海道、東北、関東、関西、中国、四国で、スーパーマーケット(SM)やコンビニ、ドラッグストア、百貨店、専門店などと組み、小売店が扱う商品をお客の下に届けているが、4月から新たにイオン東北やSMの文化堂(東京)などと提携、サービス網をさらに拡充する。

 4月からサービスを始めた提携先企業と店舗は以下の通り。仙台三越(店舗名・仙台三越)、川徳(パルク・アベニュー・カワトク)、イオン東北(イオン仙台一番店、4月26日開始)、ゼオセボン・ジャポン(ビオセボン骨董通り店)、イオンサヴール(ピカール武蔵小山店)、文化堂(文化堂豊洲店、4月28日開始)、イオン九州(イオン南宮崎店)。

 これまでもアークスグループ、コストコ、ローソン、セイコーマート、ツルハドラッグ、ラッシュ、生活の木、ヨークベニマル、イケア、マックスバリュ西日本、ポプラ、広島三越、そごう広島、高松三越の特定店舗からの配送を請け負ってきた。

 同サービスは、お客がスマートフォンなどからアプリを使って注文し、提携先の小売店のスタッフが商品をピックアップ、組織化された配達パートナーが商品を店で引き取り、お客の下に配送する。最大配達距離は都市や店舗によって異なるが、4月からの提携先では店舗から半径4~6㎞程度、配送料は1㎞未満が50円、1~2㎞が150円、3~4㎞が250円とする店が多い。商品代金の10%(最大300円)のサービス料金が別途かかる。

 同社では「今後は都市部だけでなく、さまざまな規模の都市に広げていきたい」(Wolt Japan高木慶太リテール事業本部長)としている。5月末には初めて東海地方に進出、名古屋市で新たにサービスを始める。

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