下着メーカーならではの気づき!「ワコールの靴」が就活生に人気のワケ
購入率急増、若い人に売れる ワコールだけが気づいたある理由とは
一方、長年の課題は、20代から30代の若年女性にどう訴求していくかだった。サクセスウォークのパンプスは、1万5000円~2万5000円。若年女性には高価格帯の商品といえる。そんな中、就活や入社などの機会に合わせて、母親とともに店舗を訪れる若い女性が増えてきたという。
ここで活躍するのが、2017年に下着事業部から靴事業部に異動してきた細川氏だ。靴のことには詳しくなかったため、全国のショップを行脚し販売員の話を聞いてまわったという。すると、全国の各店舗から気がかりな情報が寄せられた。それは「足長と足囲のサイズはピッタリなのに、かかとがパカパカする」という意見だった。すぐに、共同研究している足の研究者に相談すると、現代の若い女性のかかとが、以前に比べて小さく変化している傾向にあることがわかった。かかとが小さい人向けにパンプスを販売してみたところ、想像以上に需要があったことから商品を拡充することになった。
さらに、足型自動計測機を製造しているDreamGP 社とかかとタイプを判定できる足型自動計測機を共同開発。それまで、足長、足囲、足幅はサクセスウォークの販売員が手で測定していたが、かかとは測定したことがなかった。2021年3月に、かかとまで測れる足型自動計測機「REAL FOOOT special customized for WACOAL(以下、REAL FOOT)」を得意先百貨店の3店舗に導入したところ、REAL FOOTで足を測定した人の68%がサクセスウォークの購入に至ったという。
「3Dで自分の足を可視化して見ることができるのが新鮮だったようだ。『足の幅が細いですね』など画像を見ながらご説明するとスムーズにご納得いただけた。REAL FOOTを導入した百貨店は年齢層高めと思っていたが、若い人が多く計測してくださった」(同)。結果として、REAL FOOTの体験者数は2022年3月までの1年間で4000人以上となった。