AOKIホールディングス青木彰宏社長が語る、スーツ事業勝ち残り「3つの戦略」とは
ブライダルはブランディングとサービス機能に注力
―次にブライダル事業について。市場の将来性という点では、スーツと同様に厳しいです。それでも、経営の柱の一つとして強化する理由は何ですか。
青木 おかげさまで、当社の「アニヴェルセル」ブランドは、親しみやすさを大事にしながらも、非日常感と高級感を兼ね備えたゲストハウスウェディングが支持され、ブライダル市場で存在感を高めています。しっかり今の足場を固め、ブランディングやサービスを強化してシェアを拡大すれば、ブライダル事業を成長させることは、可能だと見ています。
―今後、どのような成長戦略を描いていますか。
青木 ブランディングでは、プレミアムなイメージ作りが重要だと考えています。結婚式は、お客さまにとって一世一代の晴れ舞台、一生の思い出になるわけです。だからこそ、式場のロケーションにはこだわっています。
現在、東京の表参道、横浜のみなとみらいなど、最高のロケーションに旗艦店があります。また、外資系ラグジュアリーブランドとコラボレーションしたカフェを期間限定でオープンしたように、今まで以上にブランド価値を高められるよう、他業種との協業にも積極的に取組んでいきます。
―一方で、サービスの機能とは?
青木 お客さまニーズ・時代に合わせたサービス・利便性の向上によって、ほかのブライダルサービスとの差別化を図ります。コロナ禍が大きな転機になりました。例えば、結婚式の打合せは従来、新郎新婦のお二人に何度もお越しいただくなど、ご負担をおかけしていたのですが、デジタル・トランスフォーメーション(DX)によって、リモートでもご相談できる仕組みを導入しました。フォトウェディングや少人数での挙式など、お客さまニーズに合わせた新しいサービスも開始しました。
また、披露宴ではテーブルに給仕したり、ブュッフェスタイルにしたりするのが一般的でしたが、料理を重箱などにプレセットする方式を導入しました。コロナ禍でも安心して挙式があげられるうえに、オペレーションも効率化できるので、一石二鳥の効果があったと考えています。
(後編に続く)