AOKIホールディングス青木彰宏社長が語る、スーツ事業勝ち残り「3つの戦略」とは
スーツの競争力を強化する三つの重点施策
―次に、コア事業であるスーツ専門店事業についてうかがいます。ウィズコロナ、アフターコロナを見据えて、AOKIのブランド価値や競争力を維持するために、どのような打ち手を考えておられるのでしょうか。
青木 スーツについては、取組みの重点が3つあります。一つ目は、付加価値型スーツの企画販売。「洗えるスーツ」といった機能性を高めた商品、デザイン性を追求した商品、すぐ手に入るパーソナルオーダースーツなどを開発していきます。
二つ目は、コロナ禍が契機の「ニューノーマル」に対応した新商材の開発。例えば、在宅勤務の普及で、いつでも、どこでも仕事ができるという環境になってきています。しかし、あくまで勤務中ですから、リラックスして仕事がしやすい格好へのニーズと同時に「お客さまや上司にいつ、対面しても恥ずかしくないスタイル」へのニーズも高まってきています。そこで、スーツなのに自宅でくつろげる「パジャマスーツ」や、デスクワークはもちろんオフィス以外でのワークにも最適な「アクティブワークスーツ」といったカジュアルなスーツを発売したわけです。
三つ目は、レディースアイテムの拡充。女性の社会進出に伴って、「きちんとしたスタイルの服」も今まで以上に求められるようになっています。潜在市場は大きいと見ています。
―レディーススーツは、既存の百貨店を主戦場とするブランドも根強いです。このマーケットで優位性を獲得するための武器は何でしょうか。
青木 コロナショックを経て、リアルの婦人服売場が減少しているので、お客さまが自然と買い場を求めて弊社にお越しになる面もあります。しかし、ご指摘のように、今後は、それだけに頼るわけにはいかないでしょう。
そこで、「AOKIならでは」の働く女性のニーズを反映した機能性の高い商材を強化しています。加えて、パジャマスーツは女性にも人気であり、そうしたオリジナル商材をベースにして、キャリア向けの提案力を高めます。並行して、カットソー、インナーなどの品揃えも拡充し、プライベートシーンのニーズにも、対応できるようにしていきます。