「らしさ」で支持を集めてきた東急ハンズ 知られざる誕生秘話と未来へ向けた新たな展開とは

棚橋 慶次
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ハンズの強みを活かしつつ新たな価値を提供する

 一方でここ数年、ハンズの売上は頭打ち、利益はほぼゼロの状況が続いている。そこで、収益性向上の切り札として期待されるのがPB(プライベートブランド)商品の拡大だ。最近ハンズが力を入れているヘルス&ビューティ商品は、メーカーの取り分が大きいためどうしても下代が高くなりやすい。そこでPB商品を増やし、粗利を高めようというわけだ。新宿店の3階、ヘルス&ビューティ売場では、PB商品を大きく打ち出し「ハンズのPB」の認知向上に注力している。

 もう1つの取り組みが、新業態展開による成長性回復だ。とりわけ力を入れるのが「Plugs Market」と銘打ったフランチャイズ(FC)型店舗だ。20年2月には1号店が近鉄百貨店草津店内(滋賀県草津市)に、21年12月には3号店が山口県のゆめタウン下松にオープンした。地域の良いものを紹介するゾーン、ハンズがセレクトする商品で構成するゾーン、店舗や地域の特性に合わせたテナントゾーンの3つで構成される業態で、地域創生・地方からの発信を旗印に、地方自治体や地元企業との提携によって地域活性化をめざす。
大型店舗の閉店が相次ぎ、寂しさを感じている人々も少なくないだろう。一方、ハンズ自身は未来へ向けたフォームチェンジの真っ最中だ。形態が変化しても、ハンズならではの商品力や接客力は変わらない。

 21年12月22日、HC業界最大手のカインズ(群馬県/高家正行社長)がハンズの全株式を譲り受け、新たなDIY文化の共創に向けたパートナーとしてカインズグループに迎えることが発表された。カインズグループとしてハンズはどんな役割を担うのか?新たな飛躍に期待したい。

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